最近は、能力主義、成果主義を取り入れる職場が増えていますが、上司と部下の間で「評価」に対するトラブルが起こる場合も多々あります。
このようなトラブルが起こるときは、往々にして上司の説明不足という原因がその背景に潜んでいるようです。評価の基準などをきちんと説明しておかなかったために、部下のほうが疑心暗鬼を募らせ、お互いの人間関係を悪化させてしまったというものです。
また、人事異動の場合にも、上司の説明不足によるトラブルがよく見受けられます。
説明をきちんとするということは、自分の考え方を押し付けるということとは全く別のことです。
情報不足というのは、人間の心をとても不安なものにします。ですから、必要な情報をより多く提供するということは、相手の不安を和らげるためにも、大切なことなのです。
昨今は、アカウンタビリティ(説明責任)というものが、リーダーの条件とされています。政治家や公務員が国民や住民に対して説明責任を負う、あるいは企業が株主や顧客や社会全体に対して説明責任を負うということですが、これは市民や株主などに対してだけではなく、部下に対しても、同じことが言えます。部下に対してきちんと説明できるスキルはリーダーとしての重要な能力となっているのです。
「説明をする」ということは、相手を尊重しているからこそ行えることですし、その情報提供が相手の不安を和らげることにもつながりますから、これもカウンセリング・マインドの一環といえるのです。
さらには、説明をしたうえで、相手がそれを分かってくれたかどうかをきちんと「聴いて確認をする」ということも重要なことといえます。
(11) カウンセリング・マインドは自分のためにもなる
カウンセリング・マインドは、第一義的には「他人のため」の考え方であり態度です。