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こうした価値観のギャップは、長期的な視点で見れば、さらに開いていく可能性があると予想されます。日本でも昨今「移民受け入れ」などの政策提言がなされるようになりましたが、グローバル化が進み、より多くの国の外国人を受け入れるようになれば、価値観のギャップはさらに開く可能性が高くなるはずです。

アメリカでは「ダイバーシティ(多様性)」を重視するというスローガンが政府でも企業でも広く掲げられていますが、日本でもダイバーシティを尊重するようなサービスや政策、そして、ダイバーシティを尊重するコミュニケーション法が求められるようになる可能性は高いのです。その考え方と軸を一にするのが、相手の価値観を重視するカウンセリング・マインド的コミュニケーションなのです。

グローバル時代の進展を見据えた場合にも、カウンセリング・マインドを活かしたコミュニケーションが、重要になってくる可能性は高いといってもよいでしょう。

 

(9) カウンセリング・マインドにも多様性が必要

カウンセリング・マインドの実践法にはいろいろなやり方がありますが、いずれの場合も、相手に合わせて変えていくということがポイントとなります。

例えば、「相手の話を聴く」という場合でも、どんな話を聴くのかということは、状況によって異なってきます。

モチベーションの高い人を相手にする場合であれば、「悩み」や「問題」を聞いてあげるよりも、「やりたいこと」や「アイデア」など前向きなことをたくさん聞いてあげるほうが、コミュニケーション法としてははるかに効果的です。こうした手法は「カウンセリング」というよりは、「メンタリング(応援して育てること)」と呼ばれているサポート手法です。逆に、相手が落ち込んでいるようなら、「やりたいこと」を聞いてあげるよりも、「悩みや問題を抱えていないかどうか」を聞いてあげたほうが、役に立つ可能性は高くなってきます。

 

 

 

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