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といいますのは、世の中にはこのストレスフルな変化を喜んでいる人たちもたくさんいるからです。特に、若い世代の中には、そういう人が少なくないようです。年功序列が崩壊し、成果主義が進んでいけば、若くても実力のある人はどんどん昇進することが可能になってきます。年上の上司を抜いて、若くして重要なポストに就くことも可能になってきました。

従来の日本的な横並び社会よりも、こういう時代を待ち望んでいた人たちも少なくないのです。「今までのような横並び社会、年功序列社会では夢が描けなかったが、実力次第で結果が決まるので、夢を描ける社会になった」という人もいます。こういう人たちは、社会構造の変化をストレスフルな変化とは感じておらず、逆に夢を持ち、モチベーションを高めています。現実に、残業などを全くいとわないハードワーカーも増えています。

これは、ベンチャー企業を興したような若者だけの話ではありません。一般企業にも公務職場にもこういう人たちは少なからず存在しています。また、若い世代に限ったことでもなく、男性に限ったことでもありません。年齢を問わず、男女を問わず、社会の激変を歓迎している人たちはいるのです。

 

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こうした個人の価値観や考え方については、一人一人に聞いてみなければ分からないことです。したがって、「働く人はみな精神的に大変になっているはずだ」という決めつけはしてはならないのです。一人一人みな考え方も感じ方も違います。それを「きちんと聴く」ことによって、一人一人の「違い」も含めて、人を大切にしていこうというのがカウンセリング・マインドの精神なのです。

 

 

 

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