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セクシュアル・ハラスメントというものも、その主な原因は、男女間のコミュニケーション・ギャップと言われています。男性の側が、「女は男の補佐をするもの」という価値観をもっていて、それを一方的に女性に押し付けたりすれば、ハラスメント(嫌がらせ)が生じる可能性が高くなります。逆に、女性部下が男性上司から服装などの注意をされた場合に、就業規則に則った業務上の理由で注意を受けたのにもかかわらず、それをセクハラと誤解して受け取ってしまうようなケースも生じています。

これらは自分の価値観を中心に考えてしまい、相手の立場や価値観を認めあっていないために起こっているトラブルといえます。

いずれのケースの場合でも、お互いがまず先に相手の話を聞くということを心掛けていれば、相手の価値観も少しずつ分かるようになり、それが相手を理解するコミュニケーションヘとつながっていったはずです。相手と同じ価値観になるということは無理な話ですが、価値観の違いが分かっていれば、少なくとも無用な行き違いや誤解などは防ぐことができたはずなのです。

このような態度を日常から取り入れていけば、人間関係をよりよいものにしていくことも可能です。

 

(4) 社会構造の変化と働く人の心理

人間関係をよくするということは、昔からの普遍的なテーマです。それでは、なぜ今、改めて、カウンセリング・マインドの必要性が叫ばれているのでしょうか。

それは、社会構造の変化とも無縁ではありません。

ここ数年で、働く人のマインドは大きく変わってきました。それは、アメリカから始まったといってもよいでしょう。

アメリカは80年代に、経済的に苦しい時期を迎えました。80年代初頭には、企業倒産が多発し、失業率も10%に迫りました。半導体を中心とした大企業も、日本企業に押されて国際競争場面で苦戦中でした。

 

 

 

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