特に、職場では、人の話を聞かないことによるトラブルがたくさん生じています。
日本には、「あうんの呼吸」という言葉があり、「できるだけ言語にしないで分かりあえることがよいことだ」という価値観もありますが、ときにはそれがトラブルや誤解を生んでいます。
上司が部下に「あれ、やっといてくれ」と言い、部下は「ああ、あれですね」といって受ける。ところが、上司の意図していたことと部下の受け取ったことが違っていたために、数日後に上司が激怒。そこで両者の人間関係が悪化し始めるというようなことも起こりがちです。
「あうんの呼吸」というのは、重要なコミュニケーション法の一つであり、親密な人どうしの間では十分に機能するコミュニケーション方法ではありますが、だれに対してもこのコミュニケーション法を取れるわけではありません。人はみな、自分の価値観で相手の言ったことを受け取ろうとする傾向がありますから、お互いが違った価値観をもっている人の間では、「言いたいこと」と「受け取ったこと」が違うということはどうしても起こってしまいがちなのです。
立場や世代が違えば、当然のことながら、価値観や考え方も違ってくる可能性が高くなります。例えば、上司の側は、「仕事をする以上、残業するのは当たり前」と考えていても、部下のほうは「アフターファイブは自分の時間」と考えているかもしれません。こういう場合に、上司が一方的に自分の価値観を押し付けるようなコミュニケーションをとっていてはトラブルになってしまいます。逆に、部下のほうも、上司の意見を一切受け付けず、自分の意を通そうとするだけでは、トラブルを生んだり、自分の評価を下げてしまったりすることになります。
コミュニケーション・ギャップが生まれてしまうと、どちらにとっても不幸な結果を招いてしまう可能性があるのです。
また、職場における男性と女性の人間関係においても、これは当てはまります。