あるいは、たとえ相手が受け入れてくれていても、「受け入れられている」という実感や、証拠のようなものがなければ、「受け入れられていない」と感じてしまうことも多いようです。
その「受け入れられている」という実感をもてる一番シンプルな場面が、自分の話を聞いてもらっているときだという人が多いのです。
カウンセリングを受けたことのある人の多くは、「自分の話を何でも聞いてもらえたので、自分は受け入れられていると感じた」という感想を述べています。また、「自分のことを分かってもらえてよかった」と言う人もたくさんいます。
この場合、本当にカウンセラーが相手のことを受け入れて、理解しているかどうかは定かではありません。カウンセラーがいくら努力をしても、別の人格の人間の気持ちを本当に理解するということは現実問題としては不可能なはずです。それでも、相手は「理解しようとする」努力を認めてくれて、理解してもらったと感じるようです。
つまり、「話を聴く」という単純な手法でも、積極的に相手を理解しようとする気持ちがあれば、相手に対して心理的によい影響を与えることが可能なのです。
このようなカウンセリングの手法を通常の人間関係に応用すれば、相手との人間関係をさらに良くしていくことにもつながっていくはずです。
(3) 人の話を聴くことで防げるトラブルもある
「人の話を聴く」という手法は、当たり前のコミュニケーション法と思われがちですが、それができずにトラブルが生じている場合も少なくありません。