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このようなカウンセリングの考え方や基本的な手法を、積極的に日常生活の中に取り入れていこうという態度が、「カウンセリング・マインド」です。

カウンセリング・マインドというものを具体的な言葉で表せば、「悩みがあったら聴くよ」「問題があったら援助するよ」というような対応といえるのかもしれません。

しかしながら、これには前提条件があります。それは、普段から人の話をどんなことでも聴いてあげるという姿勢です。よくあるのは、カウンセリング・マインドの研修を受けた後に、上司が突然「何か悩みがあったら聴くよ」と言いだすケースです。しかし、普段は部下の意見もアイデアも何も聞いていないような上司に、自分の秘密ともいえる悩みを話したいという部下はいないはずです。

つまり、カウンセリング・マインドはつけ焼き刃的に行っても全く無意味で、日常から何でも話を聴いてあげ、話のしやすい信頼できる人間になっておくということが条件となるのです。

そういうことを日常から行うためのコミュニケーション・スキルがカウンセリング・マインドであり、それがいざというときに「悩みがあったら聴くよ」という効果的な一言を言えるような関係を築いていくことになります。

 

(2) カウンセリング・マインドの基本は「人の話を聴く」こと

カウンセリング・マインドを持ったコミュニケーションの基本は、「人の話をじっくりと聴く」ということです。

このような単純な方法で、なぜ信頼関係が作られ、人間関係が良好になっていくのでしょうか。

人間はだれでも自分のことを受け入れて欲しいと思っています。それでも、残念ながら、現実社会では自分を受け入れてもらえない場合が多々あります。

 

 

 

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