解説
「ラ・ボエーム」についてのミニ・ガイド
小山晃
作品:イタリアのオペラ作曲家プッチーニ(ジャコモ、GiacomoPuccini1858〜1924)がアンリ・ミュルジェの小説<ボヘミアンたちの生活風景>を原作に、ルイージ・イルリカとジュゼッペ・ジャコーザの台本で書いたオペラ。1830年代のパリの下町で健気に生きる若者たちの青春群像劇といえる。
作曲・初演:1893年から95年にかけて作曲され、1896年2月1日にトリノ王立歌劇場(テアトロ・レジオ)で後に世界的大指揮者になったアルトゥーロ・トスカニー二の指揮により初演された。全編にわたり感傷性を潜めた心に染みる名旋律がちりばめられ、青春の歌が切なく、だが豊かに聞こえてくる。優れた台本作家の手腕でドラマとしても第一級の作品。
主な登場人物:ミミ(ソプラノ、パリの下町に住む貧しいお針子、清純な娘で恋に憧れ、夢も一杯に持っている。しかし…。)
ロドルフォ(テノール、ミミと同じ下宿の屋根裏部屋に仲間たちと住む貧乏詩人。だが彼も心はとても豊かである。)
マルチェロ(バリトン、ロドルフォの親友で彼もまた貧乏画家。だが心はとても温かく、ムゼッタを心底好いている。)
コルリーネ(バス、哲学者で深遠な思慮の持ち主。だから少々若年寄りの感もある。)
ショナール(バリトン、ロドルフォたちの仲間で音楽家。明るい性格がみんなの貧乏生活を救っている。)
ムゼッタ(ソプラノ、ブティックかなにかの店員で恋多い娘なのだが、根はすごくお人好しでマルチェロをアソビでなく愛している)
他に下宿の主ベノア(バス)ムゼッタのスポンサーのミドル・エイジ、アルチンドロ(バス)、おもちゃ屋のパルピニョール(テノール)、そして町を飾る数多くの市民たち(合唱)など。