福岡生まれ。東京音楽学校(現、東京芸術大学)卒業。宮廷歌手ヘルマン・ヴーハーペニヒ博士に師事。リリックな声を持ち、その音楽的解釈力の深さと卓越した演技力は、デビュー当時より高い評価を受けてきた。<二期会>創設者の一人であり、オペラではモーツァルト歌手として第一線に立ち、「魔笛」のパパゲーノ、「フィガロの結婚」のフィガロをはじめ、モーツァルトのオペラ本邦初演の主役をつとめた。イタリア/フランス・オペラでは、タリアヴィー二と「ラ・ボエーム」「ウェルテル」、ヒッシュと「ドン・ジョヴァンニ」などを共演し、オペラ史上に輝かしい足跡を残した。歌曲では、ドイツ/日本歌曲に造詣が深い。また作曲の面では好情的な歌曲作品が多く「畑中良輔歌曲集」が出版されている。評論の面では長年にわたり朝日新聞の音楽評や「レコード芸術」誌の新譜月評を担当。「演奏家的演奏論」「演奏の風景」などの著書がある。初代新国立劇場芸術監督、水戸芸術館音楽部門芸術総監督、藤沢市民会館文化担当参与をはじめ、多くの役職をこなす。東京芸術大学名誉教授、85年紫綬褒章受章。94年勲三等旭日中綬章受章。99年神奈川文化賞等受章多数。藤沢市民オペラ「ファウスト」「魔笛」「トゥーランドット」「ウィンザーの陽気な女房たち」「リエンツィ・最後の護民官」では総監督として公演を成功に導いた。現在、「音楽の友」誌に「繰り返せない旅だから」と題する自伝を連載中。