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水戸被害者援助センターでは、裁判所への同行サービスのほとんどは県警からの連絡により、はじめは警察職員と同行し、現在は相談員二人が一組で活動しているとのことでした。

全国研修会に参加して感じたことは、第一に、積極的に研修会等に参加して知識を高め、感性を磨き、洞察力を深めること、第二に、人間性を高めながら、相手の心に寄り添い、優しく暖かい心で相談活動に当たるとこと、第三に、被害者の二次被害等多様なニーズに対応するため、様々な専門分野の方々と連絡を密にし、被害者を経済的・直接的に支援し、法的地位の向上を図ることなどでした。

第一・第二・第三の活動を通して、社会全体で支援できるよう、活動の輪を広げていくことの大切さを痛感しました。

 

電話相談員養成研修を受けて

 

「電話相談員養成研修を受講して」

研修生 K.Iさん

電話相談室の机の前に立った途端、三十数年前の就職したばかりの時のことが思い出されました。入社早々の事とて、商品知識が皆無に近く、電話によるお客様との応対に非常なプレッシャーを感じて、ベルが鳴ってもなかなか手を伸ばせずにいました。

養成研修の総仕上げともいうべき実習で、このような思いが頭を過ぎったということは、心の深い処で、当時と同様の不安が渦を巻いていたのかもしれません。しかし、相談電話のベルが鳴った時、私は何に臆することも無く受話器を手にすることができました。これは些細なことのように見えますが、私にとっては自分自身の成長を感じさせてくれた大きな出来事でした。

不幸にして犯罪の被害に遭われた方やその家族の人達の、持って行き場のない、辛く切ない気持ちを、電話を通して分かち合ってもらう時、自分自身の「心のクセ」を知っていなければ、大きな間違いを起こすことに繋がるのではないかと思います。一年間の研修により、私の心のクセを大分気づかせて頂きました。

今後は、法律知識をさらに身に付けつつ、現場から学んでいきたいと考えています。

 

「研修を受けて」

研修生 O.Tさん

私はこの研修を通して、突然に身に降りかかってきた理不尽で納得のいかない犯罪を受け苦しんでいる方の多さに衝撃を受けました。そして、この研修を受けて一番感じた事は、被害者の方々の苦しみや怒りは一生続くと言う事と、その苦しみを少しでも和らげるために周りの人たちの支えや共感が必要だと言う事です。

そういった意味で、電話相談員に出来る事を、一年間皆で話し合って来ました。私達が出来る事は被害者の気持ちを汲み取り、少しでも心に詰まっているものを、安心して吐き出せるような機会を作ることだと思います。研修の中で私達は、被害を受けた方の気持ちを敏感に感じ取れるような受け答えの仕方など、研修員お互いが指摘しあって正直に話し合い勉強を重ねられたと思います。人生経験豊富なすばらしいメンバーの方々に恵まれ、自分自信の成長にもつながった実り多い研修でした。

 

電話相談員養成講座を実施して思うこと

研修委員長 角田恵子

犯罪被害者支援センターの電話相談は、長野いのちの電話相談等の電話相談ボランティアの中から志願された十数名の方々に、被害者支援に関する基礎知識を習得してもらい、一昨年六月にスタートしました。電話相談員は、開設後も講義やスーパーヴィジョン等の月一回の研修を重ねながら電話相談を担当しています。

事務局で待機していても、全く相談電話がかかってこない日もあり、やる気を持続させることが容易でない中、被害者支援の全国研修会に参加したり、広報のためのビラ配りをしたりなど、意欲的に取り組んでいただくお陰で、電話相談は継続できています。

ところで、その電話相談を拡充する目的で、今年度は電話相談員養成講座を実施しました。平成十二年二月から平成十三年三月まで、全十五回の研修を行ってきて、いよいよ来月には研修生の意向を確認した上で、電話相談員に委嘱する運びです。

養成講座の内容は、講義七回、ロールプレイ三回、テープ学習二回、電話相談実習一回、ビデオ学習等二回です。そのうちの講義は、電話相談員の月例研修を兼ねて合同で行い、内二回は、東京いのちの電話事務局長末松渉氏や、大阪被害者相談室顧問で大阪大学教授の三木善彦氏をお招きしての公開講演会を開きました。十数名の研修生は一年余りの研修を通して、互いに刺激し合って向上していけるような仲間関係を築き上げており、今後の一層の研鑚と活躍が期待されるところです。

先日の研修会である方が、「話し合いの中で『被害者の方はお気の毒』という発言がある度にとても気になっている。私たちの中のそのような意識を変えていかなければいけない」という趣旨の意見を述べられ、聞く者みなが様々な思いを触発され、考えを深める良い機会となりました。

 

 

 

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