日本財団 図書館


第4回(12月16日) 被害者の立場から〜被害者の声を聴く

 

今まで被害者の方、被害に遭われた遺族の方達は声を上げる場所すらありませんでした。声を上げても無視されていたのが現実です。被害を受けた方がどんな思いをされているのか、どれほど辛い思いをされているのか、今回は実際に被害に遭われた方達のお話を聴き学ばせていただく事になりました。

大阪被害者相談室顧問・大阪大学 教授三木善彦先生の司会で、武るり子さんと本村洋さんから次のような話をお聴かせていただきました。

 

「武るり子さんのお話」

平成8年11月3日、高校3年生の息子が一面識もない16才の少年に因縁をつけられて一方的に暴行を受け、11月15日に亡くなりました。

被害を受け家庭がどんなふうに変わっていったか、周りの人々がどのように関わってくれたかを話してみたいと思います。

亡くなった長男孝和をどんなに大切に育ててきたか。その息子を突然失ってしまった苦しみ、夫婦で責め合ったり、今までの家庭での喜びが悲しみに変わってしまう苦しさ、辛さ。何ヶ月もかかり少しづつ生活のリズムを取り戻せたのは、黙って見守ってくれていた周りの人達、毎日来てくれた孝和の友達、そして二人の子供たちのおかげです。時には鍋ごとおかずを持ってきてくれたり、後片付けをしてくれたりいつも誰か来てくれていました。その中で愚痴をこぼせたこと、人との関わり持てたことが心に空いた穴を埋める事はできないけれど、色々な人から何か別のものを貰っていると実感できました。地域に帰ると被害者は一人で孤立してしまい、地域で声も上げずに小さくなって生きています。地域で普通に住めるように周りの人と近づいていくことの大切さ。被害者支援は「耳を傾ける事」、関心を持って被害者の話に耳を傾け、被害者の現状を知って欲しいと思います。

また事件当時、少年事件ということで家族だけではどうしようもない苦しさがあったこと。その様な時被害者同士何も考えず、思うことを話す。その様な機会を持つ事がとても大事であると思いました。(武さんは少年犯罪被害者の会をつくられている)

 

会場からは東ティモールの戦争被害者支援をなさっている方が、戦争という想像を超える体験からどうしたら立ち直れるかは「話をすること」「耳を傾けて話を聴く事」がとても大切であった、と話してくださいました。

 

<本村洋さんのお話>

平成11年4月14日、妻と11ヶ月の娘を殺人事件で亡くしました。

被害者支援について実際にどういう事が出来るのか。国からの支援のありかたと市民レベルでの被害者支援について、自分の体験から話をしてみたいと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION