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その後も支援組織は全国各地に次々と設立され、現在、西日本では前述の組織に加えて京都、おうみ(滋賀)、福岡、山口などに作られています。

全国に支援組織が作られていくなかで、1998年5月に8都道府県の民間被害者支援組織が連携して「全国被害者支援ネットワーク」が設立されました。

「全国被害者支援ネットワーク」の目的は、支援組織間の交流を行い、支援活動の充実と拡大を共に目指すことです。そのため、全国各地の会員組織が集まっての全国研修会を毎年、東京と地方で行っています。地方開催の全国研修会は大阪被害者相談室が最初の開催地となり、この後、北海道、水戸で開かれました。また「全国被害者支援ネットワーク」では、毎年秋に「被害者支援フォーラム」を行っていますが、その際に招いた海外のゲストを関西にも招き、大阪被害者相談室が主催となって西日本を中心とした研修会を開いています。

大阪被害者相談室および大阪YWCAが行う被害者支援に関するセミナーやワークショップには、「東京には遠くて行けないけれど大阪なら参加しやすい」と、近畿、中国、九州各地の支援組織メンバーが参加する姿が見え、西日本の拠点としての大きな役割を果たしています。

 

3. 今後の被害者支援活動の方向性

これまでの被害者支援は電話相談を中心とした精神的ケアを行うことが主な活動とされてきました。しかし被害者支援はまだまだ必要とされることがたくさんあり、総合的な視野での支援が進められようとしています。中でも、事件後まもない時期から被害者に接しての直接的な支援や、警察、病院、裁判などに付き添うといった支援の必要性が重視されています。事件直後で混乱している時、初めての経験で何をしていいかわからない被害者、なすべきことが次々とでてきて戸惑う被害者に、寄り添い、必要とされることを行う支援が求められているのです。

警察の被害者対策による対応の改善、弁護士会の被害者相談、検察の被害者支援員の配置など各専門の分野での被害者支援が進んでいます。民間の被害者支援組織のボランティアに期待されるのは、寄り添う支援といえるでしょう。大阪被害者相談室でも被害者からの要請に応じて、裁判での付き添いが試験的に行われています。これからは「相談員」から、より幅広い支援を目指した被害者「アドボケーター(擁護者)」「支援ワーカー」として活動する相談室を期待したいとおもいます。

 

 

 

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