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大阪被害者相談室のこれまでとこれから

 

東京医科歯科大学犯罪被害者相談室 全国被害者支援ネットワーク理事

大阪被害者相談室アドバイザー 穴田富美子

 

1. 設立の経緯

「大阪被害者相談室」は、民間の被害者支援組織としては東京、水戸(茨城)に続いて全国で三番目に設立されました。日本で最初に犯罪被害者のための相談室が開設されたのは「東京医科歯科大学犯罪被害者相談室」(1992)です。開設以来、全国から相談が寄せられるようになり、支援組織の全国的な広がりの必要性を感じていました。その手がかりとして、是非とも西日本に拠点となる組織が必要だと考えられるようになりました。

1995年におきた阪神大震災の際、大阪YWCAで「こころのケアネットワーク」が立ち上げられました。こころのケアということでは被災者と被害者には共通のものがあるという思いから「犯罪被害者相談室」もこのプロジェクトに参加させていただきました。この出会いが、翌年大阪YWCAに「被害者相談室」を設立することにつながっていきました。

西日本に是非とも被害者のための支援組織をという思いに応じ、大阪YWCAはそのボランタリーな社会活動という長年の経験と実績をもって、ボランティアを中心とした「被害者相談室」の開設の準備を着実に進めました。これには、決断をした鹿野幸枝大阪YWCA総幹事、顧問を引き受けた三木善彦大阪大学教授を始めとして、川崎一代YWCA事務局担当、辻加代さん、堀河昌子さん、楠本節子さんらのスターティングメンバーが大きな役割を果たしています。

1996年の春、ボランティアの相談員募集に始まり、相談員の研修を経て、電話相談が開設されたのは4月15目でした。それに先立って4月13日に設立総会が行われましたが、この日、これから全国の被害者支援が広がっていくのだという兆しを感じました。

 

2. 被害者支援の全国状況と大阪被害者相談室の位置

大阪の被害者相談室が設立された1996年は、警察の被害者対策の通達が出された年でもあり、この年以降、被害者支援は大きな動きを見せるようになりました。1997年には、石川、北海道、紀の国(和歌山)、広島と相次いで支援組織が作られていきましたが、大阪被害者相談室は先行組織として開設準備のための問い合わせに応じるなどの支援を行いました。

 

 

 

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