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この5年を振り返って

 

大阪被害者相談室アドバイザー

大阪大学大学院人間科学研究科 西澤哲

 

「設立5周年…5年かあ、もうそんなにたったっけ。えっ。なに!この5年を振り返って、スーパーヴァイザーとして何か書けって?えっ、私って、スーパーヴァイザーだったの?ほんと?ぜったいにほんと?」

というような経緯でこの原稿を書かざるをえないことにあいなった。本当に申し訳ない話である。何がって、自分がスーパーヴァイザーであることを認識してないかのような上記の発言は単なるごまかしの言葉ではあるものの、そう言ってもおかしくない状態、すなわち何もしていないという状態なのだ。この間、少しはスーパーヴァイザーらしいかなと思えることとしては、1年に1度、冬の頃に、小西先生とともに相談員の方たちを面接し、ロールプレイなどを行ってちょっとしたアドヴァイスをさせていただいたことぐらいであろう。その唯一スーパーヴァイザーらしき仕事も、今年は小西先生一人に押しつける結果となった(決してサボったわけではない−一部に「西澤はドタキャンをするから気をつけろ」という噂が広まった。情報の発信源は特定されていないが、心優しい小西先生ではないはずである−。弁解をさせていただくと、現在の大学に着任1年に満たない私にとって、その学校の年間スケジュールを見通すというのは至難の業であったということである)。しかし残念なことに、そのような私には今回のこの原稿を書く資格などない、と大阪被害者相談室のスタッフは判断しなかったようである。むしろ、「いつも何もしないのだからせめてこのくらいはさせよう」という判断だったのだろう。

といった事情で、「被害者相談室のこの5年を振り返る」ことができないため、私が日頃深い関りを持っている「子どもの虐待」の領域での最近の出来事に言及することでお茶を濁したい。

最近の出来事として私がもっとも重要視しているのは、いわゆる「児童虐待防止法」の成立・施行である。本法について、「従来の通知等を法文化しただけで何ら新しい点はない」との厳しい批判が聞かれる。それは事実なのだが、少し違ったところに私は重要性を見る。この法律は「暴力がたとえ家族内のことであったとしても社会的な介入を行う」という旨の法的な宣言にほかならない。

 

 

 

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