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一方、被害者支援の活動を多くの人に理解し、共感して頂くための啓発活動のプログラムも企画・実行しました。6月には「被害者支援に求められるもの」と題し自らも被害者であり、自助グループ「小さな家」を運営されている大久保恵美子さんをお招きし、支援活動にかかわっている人達への研修会を持ちました。8月には小西聖子先生をお迎えし、ストーカー規制法施行を先取りし、「ストーカー被害とは」をテーマに講演会を持ちました。10月からは犯罪被害者の実情をより多くの人達に知ってほしいとの願いをこめ、「被害者支援セミナー」を全7回のカリキュラムで開催しました。40名余りの熱心な参加者が集まって下さいました。その2回目(11月2日)には、公開講座と西日本地区研修会及び交流会として、アリゾナ州ピマ郡検察官事務所被害者・証人支援プログラムディレクター、ヴィッキー・シャープさんを講師に、殺人等による被害遺族自助グループリーダー、ゲイル・リーランドさんをゲストにお迎えしました。「被害者への事件直後の危機介入」というタイトルで話された中で、アリゾナ州に於ける直接的な支援の充実ぶり、被害者の相互支援サービスの内容の豊富さには目を見張るものがありました。また、精神的にも社会的にも働きかけ、ロビー活動等被害者ボランティアを支えての活動ぶりがいきいきと語られました。私達支援活動にかかわる者にとって、“聴く”ことの上に被害者のニーズにあった、直接介入を含めての支援活動の必要性を大きく示唆されました。

2月に水戸で開催された全国被害者支援ネットワークの研修会におきましても『21世紀における被害者支援−新たな展開を目指して−』のテーマで、全国18ヶ所の民間支援組織が集まり、これからの支援活動の展開と充実への可能性が、一足先に実現している支援組織の発題を通し、熱心に話し合われました。大阪被害者相談室もその体制作りが急がれること等を実感しました。

 

大阪被害者相談室も2001年度には新たに養成した電話相談員を含め40人余りのボランティア活動体制で、大阪府警と連携を取りつつ、事件直後の支援、同行サービス等の実現のための準備を進めています。同時に犯罪被害者等援助団体としての指定を受けるためにNPO法人化の実現を目指しているところです。

まさに21世紀に踏み出し犯罪被害者保護法の成立、少年法の改正、ストーカー規制法、虐待防止法の制定、犯罪被害者等給付金の一部改正と法制度的には、支援の充実が広がって来ていますが、まだまだ満足するものではありません。大阪被害者相談室も被害者の心の傷が少しでも癒され、お一人お一人が生きるに必要な力を取り戻されることを願いつつ、ニーズに合った支援活動の実現を目指し、飛躍の年とするため努力していきた思っています。今後とも皆様のご協力、ご指導をよろしくお願いいたします。

 

 

 

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