犯罪被害者支援シンポジウムを開催
都民センターでは、警察大学校・警察政策研究センターとの共催及び東京都・警視庁の後援を得て、3月8日(木)午後1時から、千代田区のグランドアーク半蔵門において、「犯罪被害者支援シンポジウム」を開催しました。
(パネリスト)
●犯罪被害者の会代表幹事・弁護士
岡村勲
●映像ジャーナリスト
熊谷博子
●東京弁護士会・弁護士
杉浦ひとみ
●東京地検総務部副部長
松井巌
●警視庁犯罪被害者対策官
金子益雄
(コーディネーター)
・被害者支援都民センター副理事長
山上皓
・被害者支援都民センタースーパーバイザー
穴田富美子
シンポジウムは、犯罪の被害者や遺族の方が背負う精神的な被害等が広く認識されるようになり、被害者救済に関する社会的関心も高まってきましたが、被害者等の抱える問題は、精神面・身体面・経済面など、広範多岐にわたっており、これらの被害者等の実態を一人でも多くの方々に知っていただくとともに、都民の理解と被害者支援の気運を高めるため開催したもので、当センターの役員・会員をはじめ、東京都犯罪被害者支援連絡会関係者や警視庁職員、各警察署被害者支援ネットワーク会員等、約三百名が参加しました。
当日は、第一部において東京都・中村知事室長と警視庁・奥村副総監からご祝辞を賜るとともに、ドイツのウィースバーデン地方裁判所副所長のクーベ判事がはるばる来日され、「ドイツにおける被害者支援〜任務構造とコンセプト〜」と題する特別講演も行われ、今後の活動指針ともなるべく、貴重なご提言を頂戴することができました。
また、第二部のパネルディスカッションでは、「これからの被害者支援はどうあるべきか」というテーマで、被害者支援等の現場においてご活躍中の各パネリストの諸先生方から、多くのご意見をいただくことができ、また、関係者のご協力により、本当に有意義なシンポジウムとなりました。
当センターは昨年四月に設立され、発足以来、関係各団体と相互に協力・連携を図りながら被害者支援活動の拡充に務めてきましたが、今後も諸先生方の貴重なご意見を肝に銘じ、「今、被害者に必要なことは何か。また、何をなすべきか」ということを被害者の視点に立って考え、全国に広がりつつある被害者支援の輪をますます充実させ、東京の被害者支援活動が世界に誇れるレベルにまで、一日も早く高まるよう、努力を続けたいと思っています。
「ドイツにおける被害者支援〜任務構造とコンセプト〜」
ドイツ・ウィースバーデン地方裁判所副所長 ダグマル・クーベ判事
1 被害者化と被害者に対する成果
ドイツでも、犯罪被害者は長い間、忘れられた存在であった。被害者学の展開とともに、一九七六年の「被害者補償法」により状況が変わり、一九七〇年代になって、被害者のニーズに応える種々の政策が実現した。
被害者にもいろいろなタイプがあるため、その施策にも多様生が求められる。特に、暴力犯罪の被害者・遺族への対応を慎重に行う必要がある。
2 被害者の期待
加害者を告発する被害者の動機と、それに対する配慮として、被害者の期待に適切に対応しなければ、法に対する市民の期待に応えることにはならず、また法制度への不信を招く結果となる。
3 専門的被害者支援
犯罪者に「社会復帰」ということが言われると同様に、被害者も「日常生活への復帰」が目指されるべきである。「被害者が社会生活ヘスムーズに戻る」ことを目的として、多様な施策が用意されている。ドイツ・ヘッセン州の状況をモデルとして説明する。
(1) 任務と組織
「被害者支援組織」の任務は
・被害者に対する情報の提供と具体的説明(刑事裁判手続の過程)
・被害に応じた適切な対応(相談・助言・カウンセリング)
・関係する機構への紹介(「白い環」のボランティアの紹介を含む)
(2) 方法と仕事のやり方(具体例)
・被害者の「被害者化」の段階に応じた「処遇」