(3) 既設人工海浜の事例
既往資料整理および一部について現地踏査により、代表的な人工海浜の概要を整理した。
造成目的についてみると、葛西海浜公園(事例1])において計画の出発点が「ハゼや水鳥の生息場の保全」となっている以外は、直接的に生物に関して言及されているものはみられず、海浜利用への対応が侵食対策に次ぐ目的となっている。ただし、付帯的な効果として「魚釣り、潮干狩り、のり・貝類養殖」があげられており、人の利用を媒介した生物生息場の保全が目的化されている。
また、いなげの浜(事例2])、須磨人工海浜(事例6])では、環境保全面の目的として「水質浄化」があげられている。
事業後の効果のうち、環境・生物面に関するものをみると、効果が見られた例として、葛西臨海公園(事例1] )における「飛来鳥類の増加」、いなげの浜(事例2])、検見川の浜(事例3])、幕張の浜(事例4])における「貝類の自然発生」があげられている。
この様に代表的な人工海浜における生物面からみた効果の受けとめ方は、海岸に生息する生物又は海岸を利用する生物の増加を効果として評価している例が多いようである。