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また、1998年以降、事件多発の四地域を中心に、地域セミナーを開催して関係国の対応促進を図っている。

このような動きに加えて、2000年12月の海上安全委員会第73回会合では、「海賊行為及び船舶に対する武装強盗の犯罪の捜査のための実務コード」(Code of Practice for the Investigation of the Crimes of Piracy and Armed Robbery Against Ships)を作成し、第22回国連総会に提出するとともに、MSC Circularとして各国に回章した(MSC/Circ. 984)。海賊及び武装強盗の行為に対してIMOの締約国の取締官(law enforcement official)が行う捜査マニュアルと言うべきものであるが、先の政府への勧告及び船主等への指針と同様に、現在のところ、法的な文書となっているわけではない。

なお、IMOでは、幽霊船(Phantom Ship)の問題の検討が行われている。

これは、アロンドラ・レインボー号事件に見られるように、犯人が乗っ取った船舶の船名、国籍を変更してその捕捉を逃れる例が多発していることから、そのような船舶につけられた名称である。IMOの海上安全委員会第72回会合において、カナダ、中国、デンマーク及び英国などが、船舶の旗国は、登録に当たって適切な審査を行うことにより、幽霊船の数を減らし、ひいては船舶の乗取りを抑止するように共同提案を行ったことから(MSC72/17/7)、IMOでは、これを「船舶の不正な登録、証書及び証明(fraudulent regisration, certification and identification of ships)」の意味で用いることとし、国連事務局と連絡しながら、その発生防止のための方策の検討を行っている。同委員会第73会合では、いくつかの国が、船舶外部にIMO認識番号(IMO identification number)を視認できるように表示させること、そしてロイズの海事情報サービスのデーターベースの活用などを提案している(27)

 

(3) 地域的対応

わが国も、アロンドラ・レインボウ号事件以後、2000年4月に東京で「海賊対策国際会議」を開催し、関係アジア各国の海上警備機関による「アジア海賊対策チャレンジ2000」および海事政策当局による「モデル・アクションプラン」を採択して、東南アジアにおける関係国政府間の連携強化に乗り出している。

 

 

 

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