接舷後、銃を持った兵士風の者3名とその他の者4名の計7名が移乗し、兵士風のもの1名が身分証明書らしきものを提示のうえ、八幡丸の船内を捜索し、約15分後に立ち去ったが、包丁5本、はさみ2丁が持ち去られていた。なお本船は、同年4月5日にも同じ船から臨検を受け、懐中電灯1個、ヘルメット1個が持ち去られている。
2] 平成3年4月6日午前8時頃、沖縄県魚釣島から304度約124海里の公海上で操業中のあま鯛延縄漁船第2繁好丸(60トン、7名乗組)に、国籍不明船(底びき漁船型、船名記号番号なし、船体黒色、約15名乗組、約60トン)が強行接舷し、12〜13名が鉄パイプ及び刃物を持って移乗した。乗組員全員が縛られ、27MHZ送受信機等を破壊され、無線機、マイク、時計、食料、衣類、現金約14万円等を略奪されたが、人命には異状はなかった。なお同船は、翌日にも他の不審船に接舷されそうになったが、巡視船「もとぶ」が急行、間に割って入り無事であった。
3] 平成3年5月14日、午後9時45分頃、沖縄県宮古島から322度約195海里の公海上で僚船3隻とともに漁場探索中の第78伊予丸(226トン、9名乗組)が、僚船と約5海里離れた際、南東から国籍不明船(鋼船、船型SHANGHAI II CLASS類似、船首部先端に「赤色星」のマーク有り、約150トン)が無灯火で接近し、上空に向け小銃で威嚇射撃を行った後ライトを照射した。同船が停止したところ、国籍不明船が接舷し、上空に向け威嚇射撃をした後、軍服の者4名(小銃所持)、裸足、鉄パイプ所持の私服の者15名が乗り込み、鉄パイプで燃料ポンプ用パイプを損壊して主機を停止させ、乗員に発電機も停止させた。侵入者は、筆談等会話を試みるも双方意思が通じないまま魚倉内等を検査した後、午後10時頃離船し、同船の南西4海里付近で停船した。甲板員1名が船橋から連れ出される際、鉄パイプでこずかれ軽傷を負ったが、略奪の被害はなかった。巡視船「くにがみ」及び「わかさ」が午後11時50分頃現場に到着し、マイク、無線、発光信号等で呼びかけたが応答はなく、翌日、国籍不明船は船橋で五星紅旗を振り、中国温州沖で中国領海内に入った(5)。