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また、覚せい剤所持罪・譲渡罪・譲受罪は10年以下の懲役(覚41条の2第1項)、営利目的の所持罪・譲渡罪・譲受罪は1年以上の懲役で500万円以下の罰金が併科される場合があり(覚41条の2第2項)、その未遂罪は刑を減軽することができるとされる覚41条の2第3項)。さらに、覚せい剤輸入予備罪は5年以下の懲役とされている(覚41条の6)。事情を知って覚せい剤輸入罪・所持罪・譲渡罪・譲受罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航空機、車両、設備、機械、器具又は原材料を提供し、又は運搬した者は5年以下の懲役に処せられる(覚41条の9)。なお、覚せい剤輸入罪・所持罪・譲渡罪・譲受罪及び同未遂罪、輸入予備罪は「刑法2条の例に従う」と規定され(覚41条の12)、「日本国外において罪を犯したすべての者」に適用されると規定されている(刑2条)。

また、「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(麻薬新条約)」の批准に伴う国内法の整備として、平成3年(1991年)、「国際的協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)」(平成3年10月5日法律94号)が制定され、業として行う不法輸入罪(麻特8条)、不法収益等隠匿罪(麻特9条)、不法収益等収受罪(麻特10条)及びあおり又は唆しの罪(麻特12条)が規定され、それぞれ国外犯処罰規定が設けられている(麻特13条)。また、規制薬物としての物品の輸入等の罪(麻特ll条)が規定されているが、これについては国外犯処罰規定がない。

次に、「銃砲刀剣類所持等取締法」(昭和33年3月10日法律6号)においても、けん銃等の輸入罪が3年以上の懲役(銃刀31条の2第1項)、営利目的輸入罪が無期若しくは5年以上の懲役、又は無期若しくは5年以上の懲役及び500万円以下の罰金と規定されている(銃刀31条の2第2項)。また、輸入未遂罪は任意的減軽(刑43条)の対象となり(銃刀31条の2第3項)、翰入予備罪は5年以下又は100万円以下の罰金とされる(銃刀31条の12)。このほか、輸入資金等提供罪が設けられ、5年以下又は100万円以下の罰金とされている(銃刀31条の13)。さらに、これらの罪については、それぞれの国外犯処罰規定が置かれている(銃刀31条の14)。

 

 

 

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