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主張が重複する水域でグレー・ゾーンに含まれない部分は、両国間では公海とみなされるが、ソ連の本土から200カイリを超えるが、ノルウェー本土からは200カイリ内にある水域ではノルウェーが管轄権を行使し、両国の本土から200カイリ内にあるが、グレー・ゾーンには含まれない水域については、ソ連が管轄権を行使することになっている。(16)

協定の実施については、漁獲可能量の決定を含めて、グレー・ゾーン内での漁業に関する調整は、1975年の漁業協定で設置された漁業共同委員会によって行われるものとされている。漁獲可能量は両国で本質的に同等の割合で利用されるものとされ、両国の協議により、漁獲可能量の一部を第三国に割り当てることも可能とされる。第三国漁船は一方あるいは双方の当事国からの許可を受けることによってのみ操業を行うことができ、第三国船に許可を発給した場合、発給当事国は相手方当事国に告知を行わなければならない。(附属議定書4条、5条)

第三国漁船の入漁条件、規制方法に関しては、すべての漁業についてNEAFCが採択した規制に従うものとされ、漁具、トロール網の網目の種類、および捕獲可能な魚の大きさについて、NEAFCが採用した基準が用いられる。さらに、第三国漁船の漁獲に関しては、魚種別に詳細な制限が設けられている。(同6条、7条)

グレー・ゾーンでの操業条件を定めた附属議定書6条、7条の規定は漁業共同委員会の決定によって改正可能であり、また、同委員会は第三国船による操業の条件を新たに設定する権限も与えられている。(8条)第7条では、グレー・ゾーン内でのすべての漁業を協定に従って行うことを求められているため、両国間で異なる規制が行われることはない。

グレー・ゾーン内の執行管轄権については、一方締約国が相手国船舶および相手国が許可を発給した第三国船に対して執行を行うことは禁止されている。(3条、10条(a))どちらの締約国の許可も受けていない第三国船に対しては、両締約国ともが執行を行うことが可能である。(10条(b))(17)

協定締結前の交渉においては、ソ連はグレー・ゾーンで共同管轄(joint jurisdiction)あるいは共同管理(condominium)とすることを主張していたが、これに対してノルウェーは反対したと言われる。

 

 

 

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