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このように、コロンビア・ジャマイカ間の協定では、両国間の一定水域で境界画定を行わずに、漁業を含む排他的経済水域で沿岸国が認められている活動一般について共同で権限行使を行う共同制度水域を設けている。

共同制度水域においては、立法管轄権については両当事国に留保されており、この水域には両国が重複して立法管轄権を行使することになる。共同制度水域での規制に関しては共同委員会が調整にあたることになっているが、共同委員会の決定は、両締約国に勧告としての拘束力しかないため、取締りに関する両国の法令には食い違いが生じる可能性がある。

執行管轄権については、各締約国が、自国民および船舶の場合は旗国主義によって、一方の締約国が活動許可を与えた第三国船の場合は許可を与えた国が行使することになる。無許可の第三国船舶の活動に対する執行権についての明示的な規定はない。第2条6項の規定では、両締約国が第三国国民あるいは船舶が両締約国が採択した規制、措置の履行を確保するための措置について合意するものとしているが、この条文は、合法的な当該水域の利用を規定している同条2項の実施との関連で規定されている。そのため、この項は、両締約国が認められている第三国国民あるいは船舶とのリース、免許、ジョイント・ベンチャー等に関連しての措置と考えられる。自国民および自国船、あるいは許可等を与えた第三国民および船舶に関する執行権については、両締約国が共同制度水域において重畳的に権限を行使することが認められているところから見て、同水域内では、無許可の第三国民および船舶に対する執行権についても、両当事国が重畳的に行使する可能性がある。

(イ) ノルウェー・ソ連グレー・ゾーン協定

a. 協定成立の経緯

ノルウェーとソ連は、1978年にグレー・ゾーン協定と呼ばれる暫定漁業協定を締結した。両国は、バレンツ海の海域境界画定に関して、ソ連がセクター理論を、ノルウェーが中間線を主張して対立していた。

 

 

 

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