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(2条)操業条件等は合意によって決められることになっているが、共同委員会等の設置はない。この水域は、ごく狭い水域での両国の漁民の確立した漁業慣行を確保することを目的として設置されたものであり、境界線より自国側の水域では沿岸国が管轄権行使を行うなど、相互入会いの水域を定めた以上のものではない。

(ウ) スウェーデン・ソ連 バルト海海域境界画定(10)

この協定は、スウェーデン領ゴトランド島とソ連本土との間の海域境界を画定したものである。1977年に両国が12カイリ以遠に漁業管轄権を拡大したため、当該水域での境界画定が必要になった。境界画定線について、ゴトランド島を無視してスウェーデン本土とソ連本土との間に中間線を引くことを主張したソ連と、ゴトランド島とソ連本土との中間線を主張したスウェーデンとの間で主張の相違があった。1977年12月の合意で、両国の主張が重複する水域においては、境界画定協定が成立するまでは、どちらも漁業管轄権を主張しないものとされた。しかし、そのために、同水域では実効的な保存・管理措置がとられなかったために、資源への深刻な影響が見られた。1980年代中頃になるとソ連はスウェーデンを含めた他国漁船の漁業活動に対して管理を行う姿勢を見せた。スウェーデンは、係争水域での両国共同での管轄権行使には反対しており、両国は同水域の境界画定に向けた交渉を開始した。

協定では、両国の主張する線の間で、25%対75%の割合でソ連よりの線を両国の海域境界とすることにした。また、両国は、共同漁業水域を設置して相互に漁獲を認め合うことに合意しており、本協定では、20年の期限で、毎年、より多くの水域が割り当てられたスウェーデンが自国側水域において18,000トンの漁獲をソ連に認め、ソ連が6,000トンの漁獲をスウェーデンに認めるという、境界線の画定と逆の比率の漁獲高で双方の入漁を認めることになった。20年の期限後は、両国の交渉により両国水域内での漁獲量を決定するものとされ、外国漁船の参入も妨げないとされている。執行に関しては、境界線より自国側ではそれぞれの沿岸国が管轄権を行使するものとされ、共同した執行権行使は行われない。漁業共同委員会等の制度も設定されていない。(11)

 

 

 

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