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私の車輸入時には物品税を免除されました。また、業務上の便宜供与として、電話付き個室を執務室として貸与されているので仕事環境は良好といえます。また、必要時公用車が提供される事になっており、通勤時および当方の要望に応じて運転手付き車を利用しています。

モーリシャスは国際的に各国から多様な経済、技術援助を受けており、旧宗主国(英仏)と人種的近親感からくるインドとの結びつきを強くかんじられる国です。旧宗主国のフランスは主に言語、文化を通じて、英国は政治、行政システムと多数の留学生受け入れを通して国の指導者層に大きな影響力を保っています。またモーリシャス人口の7割近くを占めるインド系住民はインドを向いており、インドの政治的、経済的影響力を感じます。同じ南半球圏のオーストラリアと南アフリカも近隣大国としての存在感があります。遠くにある日本の存在感は薄いのですが、氾濫する日本車、日本製電子機器などを通じて技術大国日本の印象はかなり強烈です。このためか親日的な人が多い。

フィジーのようなインド系対原住民側の反目が表面化せず、国内の治安が良くて現在の主要産業、砂糖、繊維、観光産業の成長が持続すれば、今後、アフリカ圏の優等生としてさらに経済発展が期待できるでしょう。目下国を上げての国内融和策と情報化杜会への離陸を大きな国家目標としており、シンガポールをモデルとして南インド洋の経済、交通のハブ国家を目指して努力しいるとのことです。

業務遂行上配慮すべき文化、社会慣習等の相違としては次のような点があります。

多民族国家で宗教が多彩なため、かなり各宗教上の祝日、勤務短縮がありこのため仕事の能率が上がらない。また残業は建物を勤務時間終了後、閉鎖、施錠するので出来ません。そもそも残業という観念も無い。このため残業を厭わず処理する日本的な突貫事務処理は望めず、気長にやらないと欲求不満が嵩じます。さらに行政事務処理にイギリス式ファイリングとインド式帳簿付けの両方が混在し、処理が煩雑なようで、また全発議、伝達、決済が案件一ホルダーでまとめられ複雑なルートを経るため、決済とその後の通知に非常に時間がかるのが実情です。

また多様な人種のため使用言語も多彩です。人口比ではインド系ヒンズー教徒と若干のイスラム教徒が6割以上と大多数であり、主にヒンズー語とクレオール語を話します。またクレオール系(アフリカからの移住者の子孫)、フランス系、中国系キリスト教徒や僅かな中国系仏教徒などが混在し、使用言語もヒンズー語、クレオール語、フランス語を中心に、英語、中国語などが話されています。

 

 

 

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