由香里さんの変化がわかりましたか?
セツヨ 「わかりました。宗家も何でだと驚いていたくらいです」
池田 「それまで口先で器用に吟じていたのが、成長と共に人格も育成され、人柄が出始めて、訴える力が伸びたのではないでしょうか。始めは感心する吟でしたが、ここ一年は感動できる吟になってきたから、大いに楽しみです」
自分で変化を感じましたか?
由香里 「テープを聞いたり、公演を聞きに行ったりして、そういうところから学んだという自覚はありましたが、変化というものを意識したことはありません」
性格的にはコツコツやるタイプですか?
池田 「がんばり屋さんです」
セツヨ 「負けず嫌いです」(笑)
池田 「うまくいかないときは、舞台の袖で泣きますからね」(笑)
決勝コンクールでは思い通りにできましたか?
由香里 「自信はありませんでしたが、自分の中で精一杯できたので、満点だと思いました」
今回の吟題を選まれた理由はありますか?
セツヨ 「ガンガンいく吟より、静かな吟がいいって、この子が言いましたので選びました」
由香里 「いったかしら?」(大笑)
ご宗家が見て吟題は合っていましたか?
池田 「声が優しい感じなので、こういう雰囲気の詩はあうし、奥行きも表現できるかなと思います。まあ、詩の選び方は先生にお任せしていますから」
初めての青年の部で優勝は凄いですね?
由香里 「驚きました。それから嬉しくて泣きました」
セツヨ 「私もまさかと思いました。私も応援してくれた人も、みんな泣いていました」(笑)
池田 「私は会場に行けなかったのですが、連絡を受けてビックリしました。だって日本一ですからね」(笑)
この若さで優勝すると一般の部まで時間がありますが、目標などはありますか?
由香里 「詩吟以外のことですが、まず来年は大学受験がありますし、受かったら将来に向かって勉強したいと思っています。落ち着いたら、マイペースでまたお稽古していきたいと思います」
将来の夢はあるの?
由香里 「はい、父が医師なので、小さい頃から医師に憧れており、なれればいいなと思っています」
池田 「私としては詩吟も忘れずにつづけ、立派な指導者になってほしいのですが」(笑)
由香里さんの今後の課題というのはありますか?
セツヨ 「今は嬉しいだけで、課題というのは思いつきませんね」
池田 「詩をしっかり勉強し、作者が詩に込めた想いを表現できる感性を大切にし、技術本位にならないでほしいと思いますが、その点は最近心得ていると思いますので、心配はしていません」
詩吟の表現についてどう思いますか?
由香里 「古典を勉強するようになってから、詩の意味がわかってきました。また、母が指導するのと同時に、自分の中でも悲しいところは悲しい気持ちで、楽しいところは楽しく、自分の心の中で感じながら吟じるようにはしています」
舞台で失敗したことはあるの?
由香里 「幼年の時にたくさん失敗しました」(笑)
例えばどんなこと?
由香里 「声が裏返る失敗です」(笑)
池田 「少年で武道館の舞台を踏んだ経験は大きいと思いますね。何故かと言うと、それを経験してから吟が伸び、失敗がなくなりましたから。舞台に負けない精神力がつくのでしょう」
由香里さんにとって詩吟とは何ですか?
由香里 「自分を思い切り表現できる、最高の場所だと思います」
皆さんのほうからアドバイスなどがありましたら、お願いします
セツヨ 「このまま素直に、自分の未来に向かって邁進してくれたら、それで結構だと思います」
池田 「コンクールは自分を磨く機会ですから、一生懸命練習して答えが出ることはいいことですが、それだけを目標に詩吟をしているわけではなく、そこに目標を置いてしまうと挫折したとき嫌になるので、もっと高いところに目標を持ってもらい、コンクールは自分を磨く手段として答えが良ければ良しとし、悪ければ反省するということでいいのではないでしょうか」
由香里さんへ、最後に何かありますか?
由香里 「このままマイペースで詩吟を続けていきたいと思います」(笑)
本日はインタビューにお答えいただきありがとうございました。これからの活躍を期待しております。