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吟剣詩舞の若人に聞く

第三十回

 

感心する吟から感勧する吟へ、成長をつづける吟界の逸材。

 

天性の才能に磨きをかけて、人を感動させる吟を聞かせる今由香里さん。吟道と自分の夢の実現に向けて、日々精進を重ねる彼女とその家族、ご宗家にお話をうかがいました。

 

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今由香里さん

 

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インタビューに答える(写真右より)池田哲星宗家、今由香里さん、師で母の今セツヨ(星白)さん

 

今由香里さん(十七歳) (平成十二年度全国吟詠コンクール決勝大会青年の部優勝)

師:今セツヨ(星白)さん

宗家:池田哲星さん(粋心流星華吟詠会)

 

何歳から詩吟をしているの?

由香里 「二歳からです。母が詩吟をしていまして、私がお腹にいる時から聞いていましたから、それが切っ掛けだと思います」(笑)

お母さまが詩吟を習い始めた理由とは?

セツヨ 「結婚式などで指名されても、何も披露するものがなく、詩吟でしたら皆様に披露しても恥ずかしくないかなと思いまして始めました」

習われたのは、今のご宗家からですか?

セツヨ 「はい、そうです」

お子様にさせようとお考えでしたか?

セツヨ 「特にそういうことはありません。子守唄代わりといいますか、お風呂に入ったときなどに口移しで詩吟を聞かせましたけれど、させようとは思ってはいませんでした」

二歳の時からご宗家が由香里さんを見ているのですか?

池田 「いえ、お母様が教えています」

ご宗家はいつ頃から、由香里さんを見ていますか?

池田 「幼年のコンクールの頃から見ています」

幼年の部に出ているのですね?

セツヨ 「はい、その時は二位でした」(笑)

池田 「少年の部では優勝できました」

由香里さんの印象はいかがでしたか?

池田 「詩情豊かな表現をするための条件として、知性と理性と感性が必要だと思いますが、由香里さんはその三つの要素を高レベルで持っている素晴らしい吟者だと思います。ただ、天性の才能があるために、時としてテクニックが前に出た、大人びた吟になる場合もありました。でも、ここ一、二年は大変よくなり本来もっている豊かな感性が活きていると感心しました。また、ご両親の愛情に包まれて育ってきたので、その育まれた感性が花開いたといえるでしょう」

お母様はどんな点に注意して指導していますか?

セツヨ 「無理強いをしないことです。本人が嫌がったらやりません。それと長い時間はしません。それを心がけています」

母親に教わっていかがですか?

由香里 「親子だから言い合えることができるので、練習し甲斐もありますし、お稽古していても楽しいです」

教え方はうまいの?

由香里 「はい…(笑)さすが母と思います」(大笑)

小さい頃からやってるけど、嫌にならない?

由香里 「今の年代だといろいろあって、さらに詩吟を練習しなさいといわれた時は、少しムカッと来たこともありました」(大笑)

 

幼年は二位で少年では優勝ですが、何か転機があったのですか?

セツヨ 「それは、この子の努力だと思います。皆さんのテープを持っていくと、この子自身で聞いて、自分で練習していました。でも、何でこんなにうまくなったのかと私も思ったくらいです」(笑)

 

 

 

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