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来賓挨拶では河田神泉財団副会長が笹川鎮江会長の祝辞を代読しました。その祝辞の中で「新世紀を目の前にして、吟詠の芸術的向上のために行なう財団の事業が、一つの節目を迎えていることに気づきました。それは吟詠が芸術的向上という点で現在ひとつの節目を迎えていること。そして、二十一世紀には新しい展開が望まれること。それは今まで培われた発音やアクセント、伴奏音との調和など、吟詠の基礎の上に立ったものでなくてはならないと考えています」という新世紀に向けてさらなる吟詠の芸術的向上を望む会長の切なる願いであり、希望でした。そのあと、来賓の紹介があり、祝電が披露され、式典は滞りなく終了しました。

 

少壮吟士の底力を、再認識した質の高い舞台

少壮吟士吟詠チャリティーリサイタルは二部構成になっており、第一部は少壮吟士愛吟集、第二部が企画構成吟でした。少壮吟士愛吟集は総勢二十名の少壮吟士が一人一曲づつ吟じるもので、一番手は本年度少壮吟士になったばかりで、高知県待望の少壮吟士となった明神春風少壮吟士が「春夜」を立派に吟じあげ、会場から大きな拍手を受けていました。つづいて梶田鷹巌少壮吟士から締めくくりの秀平克泉少壮吟士まで、さすが少壮吟士といわれるだけの実力を遺憾なく発揮し、見事な吟詠をそれぞれが披露しました。

第二部は西日本少壮吟士会が企画構成を行なった「雪・月・花」という題名の舞台でした。内容は日本人の心の内に秘められた心象風景を詩歌によって表現し、吟剣詩舞で味わうものでした。雪では「富士山を詠ず」「江雪」「冬夜書を読む」などが、花では「桜祠に遊ぷ」「江南の春」「梅花」などが、月では「静夜思」「山中の月」「夜墨水を下る」などが吟じられ、来場者はそのすばらしい舞台に大満足の様子で、フィナーレではいつまでも盛大な拍手を送っていました。

最後に特別プレゼントとして、クリスマス抽選会が行なわれました。抽選番号が呼ばれるたびに会場は、笑いと拍手に包まれ、最後の最後まで来場者を楽しませてくれました。

新世紀を迎えた本年度、笹川鎮江会長のお言葉にもありましたが、吟詠の芸術的向上も新たな展開を見せることでしょう。その中にあって、少壮吟士吟詠チャリティーリサイタルも新しい試み、新しい展開でさらに人々を楽しませてくれるでしょうし、そんな舞台を期待したいものです。

 

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第一部「少壮吟士愛吟集」で「立山を望む」(国分青躡?を吟じる木村幻泉氏

 

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第二部「雪・月・花」の舞台から、三田梅鳳氏の吟詠と、和泉霊康氏ら四氏の詩舞で「常磐孤を抱くの図に題す」(梁川星巌作)

 

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第二部「雪・月・花」から、「山中の月」(真山民作)を吟じる徳田寿風、大森英風、明神春風の三氏と、これを舞う小野霊耀氏ら五氏

 

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フィナーレで、出演者全員が観客に手を振り、別れを惜しんだ

 

 

 

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