笹川鎮江
ためになると思ったことは良いことであれ、厳しいことであれハッキリと伝えたいものです
新世紀を迎えた財団最初の行事、財団役員総会(理事会・評議員会)並びに平成十三年吟剣詩舞振興「新春のつどい」は、一月六日(土)、東京・三田の笹川記念会館において開催されました。会長として議長を務めた役員総会では全役員の任期満了に伴う役員改選が審議されましたが、たいへんスムーズに進行するとともに、引き続き行われた新春のつどいも、例年を上回る大盛会の裡に無事終了することができました。
新春のつどいの来賓祝辞では、昨年同様、NHK番組制作局長の伊東律子さまからご挨拶をいただきました。伊東さまは、二十一世紀の冒頭を飾るNHKの新春吟詠放送が無事終了したこと、NHKと私のお付き合いがたいへん長いこと、そして、今から六十年以上も前のことですが、当時のNHK文芸部長の小野賢一郎先生が、私に琵琶から吟詠への転向のアドバイスをされたことなどのお話をされました。
これは昭和十三年のことで、小野賢一郎先生は、「これからは琵琶より、吟詠の方が伸びるかも知れません」と仰せられ、私に琵琶から吟詠への転向を示唆されました。当時のことを思い起こしますと小野先生のこの一言が、私の今日に至る吟詠人生の切っ掛けを作ってくださったわけでございまして、たいへん感謝をいたしております。
この小野賢一郎先生の適切なアトバイスがどれだけ私の為になっていたかを考えますと、このご恩返しの意味でも、二十一世紀の吟剣詩舞道界を背負われる皆さまには、時には苦言となっても、言うべきときにはハッキリと言わなくてはいけないと考える昨今でございます。