舩川利夫先生のプロフィール
昭和6年生まれ。鳥取県出身。米子工業専門学校卒。箏曲家古川太郎並びに山田耕作門下の作曲家乗松明広両氏に師事、尺八演奏家を経て作曲活動に従事。現代邦楽作曲家連盟会員。若くして全日本音楽コンクール作曲部門一位、NHK作曲部門賞、文部大臣作曲部門賞などを受賞されるとともに平成4年度(第8回)吟剣詩舞大賞の部門賞(吟剣詩舞文化賞)を受賞されている。数多い日本の作曲家の中でも邦楽、洋楽双方に造詣の深い異色の作曲家として知られる。おもな作品に「出雲路」「複協奏曲」その他がある。また、当財団主催の各種大会の企画番組や吟詠テレビ番組の編曲を担当されるとともに、夏季吟道大学や少壮吟士研修会などの講師としてご協力いただいている。
運動に無縁な人も「からだづくり」を試そう
前月号のストレッチングでウォーミングアップが済み、次のステップです。ふだんの生活で、運動にあまり縁が無い人を念頭に「弱め」にプログラムしてもらいました。物足りない人は回数や力の入れ具合で補って下さい。筋力をつける運動は“強く少なく”より“弱めでも回数を多く”が効果的とのことです。
繰返しになりますが、運動の目的は1]安定し、リラックスした良い姿勢を作る2]腹式呼吸に役立つ筋力をつける3]自分の体をよく共鳴する楽器(からだ)に近づける…などのためです。「そんなにうまくいくの?」と疑わないで、教室の発声の前に、プラス自宅で根気よく続けて下さい。ある声楽の先生が「いつも胸を張り姿勢をよくするだけでも、声の響きはよくなってくる」と言っているくらいですから、効用は推して知るべしです。
呼吸法のカギは横隔膜
呼吸法について補足します。腹式呼吸で主役を務めるのは横隔膜です。胸腔と腹腔を区切る膜のような筋肉で…といってもどこにあるか自覚し難いのですが、吐き気を催したとき肺臓を突き上げるような衝撃を感じた経験がおありでしよう。あれが横隔膜の緊張したときの力です。息を吸うときはその横隔膜をできるだけ下へ落としてやる、すると胸腔が開いて肺に空気が一杯入る。それを素早く行うために、肋間筋とか腹筋の強力な援護が必要となる。もっと大事なのは、息を長く、均等に吐き出すときです。横隔膜とその周辺の筋肉で、吐く息をしっかりと支えなければいけません。この辺のアヤは訓練で体得するしかないのです。腹筋などを強くする必要性もそこにあります。さらに呼吸、歌うこと全体を支えるのが腰だと強調する人もいます。
そうしたことから今回のプログラムには「呼吸」の一項を入れてもらいました。以上の腹式呼吸の大切さを考えながら実行してください。なお、説明文の中に『口を「ス」の発音形にして』とあるのは、そうすることにより、呼気に若干の抵抗を持たせ、声を出すのと同じような状況を作るためです。どこまで均質に、長く保てるか試してみてください。