平成8年の新条例は、旧条例の2つの奨励措置を若干手直しし、それに新たに、UIターンを含む、新たに村内に定住すること、それ自体に対する奨励措置を加えている。新条例は、まさしく、UIターンによる若者の定住を視野に入れていることが、旧条例と比べた際の大きな特徴となっている。その奨励措置を第5表に示した。新条例では、「定住」を「永住又は相当期間(10年以上)にわたって村の住民基本台帳に登録し、且つ、その生活の本拠が本村にあること」(第2条)、また、「後継者」を、「泉村に定住する意志のある満45歳以下の者」(第2条)と、旧条例と比べて明確に規定している。
新条例では、結婚祝金の支給と仲人への記念品の贈呈がほぼそのまま引き継がれており、祝金の額が、3万円から10万円に引き上げられている。これが、第5表の奨励区分の1と2である。なお、旧条例にあった結婚相談や広域交流事業は、新条例では省かれている。また、旧条例のもうひとつの奨励措置であった産業振興研修奨励金の支給は、その支給額やその限度を含めて、そのまま新条例に引き継がれている。これが第5表の奨励区分の6である。
さて、新条例で新たに加えられた奨励措置が、第5表中の奨励区分3の「住宅用地の貸付」、4の「定住支度金」、および5の「引っ越し手当」である。これらが新条例のいわば目玉で、若者の泉村へのUIターンを含めた定住それ自体を奨励するものである。
4の「定住支度金」は、この条例の奨励措置の中心をなすものである。「泉村に定住する意思のある45歳以下の者」(第2条)が村内に実際に居住することになった場合に、1世帯当たり30万円、1人当たり10万円が支給される。これは、もちろん、すでに村内に常住していた者に限らず、45歳以下であればUIターン者も対象となる。なお、資格要件の(2)の「定住する新卒者」の「新卒者」とは、高校以上の学校を「卒業して6月を超えない者」(第2条)である。資格要件の(3)については、後出の宅地分譲・貸付のところで述べることにする。
奨励区分5の「引っ越し手当」は、もちろん、UIターンによる定住者の場合にも、村外から引っ越してくるのだから、1世帯当たり5万円が支給される。
以上のように、この平成8年制定の『若者定住促進条例』は、UIターン者を含めた、この村に定住しようとする若者に対して、結婚、住宅・宅地、転居、研修と、幅の広い事項に関して奨励措置をとろうとするものであり、村の行政がいかにUIターンや若者の定住に力を入れているかを示すものである。
このうちで、UIターン者に直接かかわると思われる4の「定住支度金」、あるいは5の「引っ越し手当」の支給実績を見ると、支給を受けたUIターンの世帯数(人数)は、平成8年度に5世帯(18人)、9年度4世帯(12人).10年度5世帯(12人)、11年度4世帯(17人)で、8年度〜11年度の合計18世帯(59人)である。ちなみに、前出の第4表から、8年度〜11年度のこの村へのUIターン者数は108人であるので、その半数余りがこれらの奨励金を受けたことになる。