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第1章

課題と目的

 

平成12年4月から施行された過疎地域自立促進特別措置法は、その施策の6つの重点分野の中に「都市との交流と若者をはじめとする定住促進による地域の活性化」を掲げている。

1970(昭和45)年前後、高度成長期における地方圏から大都市圏への人口移動一色の動きが少し変化して、大都市圏から地方圏への移動が着実に増加しはじめた。しかし、それは、大都市圏へ進学、就職した第1次ベビーブーム世代(1940年代後半生まれ、1970年代には20代後半にさしかかっている者が多い。)の一部が大都市圏から帰還したためである。それは、「Uターン」と早速命名されたが、同一人物の還流と必らずしも確認されていたわけではなかった。

過疎地域問題調査会は、1983(昭和58)年度、岩谷三四郎島根大学教授を委員長として「Uターン現象の実態とその対応策」を研究した。その際の市町村担当者へのアンケート結果からは、Uターン動機としては、家庭の事情が最も多く、これまでに講じられた過疎対策の成果として環境条件が整備されたからとか、農山漁村本来の良さが社会的に見直されるようになったからとするものは少なかったということがわかって、過疎団体みずからの努力により、Uターンを促進できる余地は実際には小さいとなげきながらも、実態調査の結果として、1]Uターン者が地域の活力向上に極めて重要なこと、2]Uターンがすすむように、過疎地域に円滑なライフサイクルが確立されるようにすべきことを提言した。

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このころには、UJIターン者が着実に増加していると多くの人が言うようになっていた。

(注) 雇用動向調査によって、地方圏(対三大都市圏)における就職に伴う流入者数をみると、昭和62年の137千人から平成5年の306千人へと増加したという。―国土庁、大都市住民の地方移動(回帰)促進方策調査での分析

 

宮口教授の調査研究では、UIターン者が地域に新しい発想を与える上でも貴重だとして、UIターン施策の戦術的展開等を訴えた。なお、この調査報告の中で、過疎対策は、人口の多かった農山村の再現ではなく、人間の居住の場として輝かしい地域に変質することではないかと提言したことが注目された。

 

 

 

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