6. 子どもの国籍に関する調査
来日する外国人の増加に伴う国際結婚の増加、日系外国籍の人々の増加、また日本に入国する外国籍の子どもの増加によって、我が国は今、様々な国籍を持つ子ども達が増加している。またオーバーステイをしている外国人夫婦から生まれた子ども達が未届け、未就籍、無国籍のままで成長していく現実がある。ISSJは国際養子縁組に関わりながら無国籍の子どもの問題解決を進めているうちに様々なタイプの無国籍状態のあることが分かってきた。実親から置き去りにされて無国籍、国籍未確認、未就籍のまま乳児院、児童養護施設、その他の児童福祉施設で生活する子ども達、あるいは知人に預けられたままの子ども達、またオーバーステイの親とともにひっそりと地域社会で生活する子ども達など、その状態は様々である。しかもそのような子ども達は確実に増加しているが、その実態を把握しているところは無いように思われる。ISSJは、国籍を持たないということは「子どもの権利条約」7条の国籍を取得する権利に反するものとして、無国籍、未就籍の子ども達の実情を可能な限り把握し、その対策を見出すために、今年度三菱財団の助成金を得て「子どもの国籍に関するアンケート調査」を行った。
ISSJがこの調査を行う目的は、アンケート調査で得られた実情をふまえて、無国籍、未就籍の子ども達が国籍を取得して、よりよい生活環境が与えられるような対応や、予防的な対策を検討し、必要があれば国籍認定に関する法改正の参考資料となりうるようにしたいものと考えている。
調査の方法は、一方は児童相談所の協力を得て、児童相談所に関わった子ども達と入所施設に措置された子ども達に対する調査である。他方は在日外国人を支援する民間団体を通して地域社会で生活している子ども達に対する調査である。児童相談所に関わった親子の場合はある程度身分が明らかにされているが、地域社会で生活する人々の多くはオーバーステイであるため、アンケート調査することが可能かどうか不安であった。そのために在日外国人を支援している都内および近郊の民間団体を訪問し、調査の目的を説明して、このような調査が可能とすればどのような質問項目が適当であるかの助言と好意的な協力を得られた。その結果、児童相談所と民間団体とに対する二種類のアンケートを作成した。
現在、集計の段階で分析はまだ完了していないが概略を報告する。なお現在到着待ちの分もあり、都市部では別途に検討しなければならない部分もあるので今後の変更は考えられるが、数値は3月15日現在のものである。全国175児童相談所に依頼した中、アンケートの回答をいただいたのは127児童相談所(73%)であった。民間団体では対象となる親達にアンケートに対する心理的な抵抗があり、全国50団体の中、回答をいただいたのは20団体(40%)であった。