2. ケース研究会
国際養子縁組、子どもの本国送還、難民等の相談に関するケース研究会を、月2回、全ケースワーカーの参加で行っている。国際ケースの性質上、各国の文化、経済、社会、政治状況を把握し、関係する人々の立場を理解しながら問題解決がされるよう真剣な討議を重ねた。本年は、黒木忠正氏による“新入管法について”の講演も行い、入国管理関連手続きを円滑に進める上で大変有益であった。さらに、鈴木博人氏(茨城大学助教授)の参加により、法律的見地からの意見を得られたり、元ISSJソーシャルワーカー森恭子氏(富山福祉短期大学講師)からは、留学先だったオーストラリアの養子縁組制度についての情報が伝えられた。このほか、オーバーステイの子どもの強制送還ケースに対するISSJの理念を再確認し、共通理解をはかった。フィリピン人、あるいはタイ人と日本人夫婦による養子縁組後、年月が経過しても、子どもの福祉が十分に守られているかフォローアップ調査行うことになった。当研究会では、ワーカーが担当ケースに偏ることなく国際家族援助を必要とする個人、家族のためにソーシャルワークの知識、実践の研鑚を積んでいる。
3. 社会福祉実習指導
5月25日、仙台市第一中学校の生徒8名が修学旅行中のプロジェクトの一つとして社会福祉の現状理解を目的にISSJ事務所を訪問した。事業団の歴史と事業内容を説明した後、最後にカンボジアプロジェクトのビデオを見ながら現地の活動を紹介した。現在多数の外国人達が日本で生活する中で、様々な多くの困難を抱えて不安な日々を過ごしている現実を知り、また理由があるにせよ実子を他人の子にするために手放す親のいることに大きな驚きを表した。ごみの山の中で、お金になりそうなものを一日中拾い集める幼い子ども達の姿を映したカンボジアのビデオは、特に印象に残った光景だったようだ。
物質的に豊かな今日の日本社会の中で、恵まれた現在の生活が「当り前」と思っていた彼女達が、自分達を見つめることから始め、どのような社会が我々にとって住みよいかを考え、そのような社会を築く努力をしてくれることを密かに期待している。国籍、人種、職業、宗教または、社会的地位等々で人々を差別し、評価することなく、互いの違いを認めながら生きられる社会の構築に向け努力し、がんばって欲しいと伝えた。