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RSCCでは、様々な理由で親から養育を受けられない子ども達が一時的に保護されている。子どもは0から6歳児を対象であるが、事情によっては、対象年齢を越えて留まる場合もある。平均入所期間は1年で、その間に家族に返還、里親委託、養子縁組、施設入所等の適切な処遇が検討される。昨年は11ケースの国際養子縁組、8ケースのフィリピン内の養子縁組が成立している。女性シェルターでは、家庭内暴力を受けた女性にカウンセリングによるエンパワメントや家族関係の調整、また、職業訓練を通じて女性の自立に向けた支援を行っている。シェルターで生活する女性の中には、知的障害を抱えているケースもあり、社会復帰を難しくしている。少女たちのグループホームでは、セラピストが常勤し・心理治療や自立に向けて縫製技術の訓練が行われている。マニラではDSWD本部と国際養子縁組委員会(ICAB)を訪問し、ISSJの扱っている個々のケースについて情報交換を行った。また、訪問した老人入居施設(Golden Acers)は、昨年10月の火災で施設の半分の建物が焼失し、老人達は焼け残った建物での生活を余儀なくされ、一つのベッドを二人で使用していた。再建工事が遅れている背景には、老人福祉施設には思うように予算がおりない現実があるようである。

 

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女性シェルターでの職業訓練

 

<香港における研修>

本年度、ISSJソーシャルワーカーが訪問した香港ISSにおいても特に中国本土やフィリピンから香港への入国者に対して、廃校を借り切りカウンセリングや、語学クラス、職業教育のためのクラスを開設しており、フィリピンのDSWDから派遣されたソーシャルワーカーやボランティアが相談にのっていた。

外国人労働者の流入によって、アジア地域の国境を越えた援助活動が、必要とされる時代となってきた。今後、ISSJではさらに香港、フィリピン、台湾をはじめアジア地域のソーシャルワーカーの交流と研修を重ね、各国関係機関と調整・協議を行い、より質の高い援助活動が出来るよう努力をしていきたいと考えている。

 

 

 

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