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カンボジアでは2000年10月にプノンペン市長が貧しい子どもの教育支援対策を発表した。このことからみても、教育システムの確立に積極的な対応が行われつつあるようだ。現にプテア・ニョニョムのあるチャムロンパル村でも村長が貧しい家庭の子ども達数名を村の小学校へ通えるように手続きしたそうで、カンボジアの児童福祉に従事する私たちISSJと現地スタッフにとってはとても喜ばしいニュースだった。しかしこのように教育を受ける機会が運良く与えられた子どもは少数といえる。児童労働やストリートチルドレンなど、現在のカンボジアにおける子どもを取り巻く問題は依然として深刻である。公的教育は無料でも制服費や通学にかかる経費を払う事が出来ず、子どもを学校へ通わせられない家庭も多い。一方では教師の給料は依然として月給$20程度に留まっており、これを不服としてストライキが今年に入ってからも行われた。そのため、多くの教師は正規の授業が終わった後に予習・復習を兼ねた課外授業を有料で行い、学校に通える子ども達の中にも教育を受ける機会にかなりの差が生じていると思われる。

プテア・ニョニョムでは子どもの自主性を重んじ、子どもが学校へ通っている、いないかにかわらず、誰でも勉強をしたいものが自由に来所して知識を得られるよう配慮されている。その中で現地スタッフ達は、ソーシャルワーカーとして個々の子どもの調査・アセスメント(評価)をし、貧困や家族がエイズなどの病気に罹患していることが原因で小学校に通学していない子どもには、家庭訪問などを通してあらゆるサポートを尽くしている。

一方で、小学校とプテア・ニョニョムの両方に通ってくる子どもも少なくない。村の小学校は午前と午後4時間ずつの二部制で特にクメール語、算数、社会、生物を中心に授業を行っていることをふまえ、プテア・ニョニョムでは描画、本の読み聞かせ、カンボジアの歌などの情操教育も他の識字、算数、衛生・栄養教育と同様に重要な柱となっている。

 

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スタッフ手作りの軍手人形と幕で栄養・衛生の人形劇

 

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村中総出の運動会

 

 

 

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