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◆フィリピンにおける国際結婚・離婚のカウンセリング◆

2月26から3月3日の日程でソーシャルワーカーが2人フィリピン社会福祉開発省(DSWD)のダバオ支部とマニラ本部、および国際養子縁組委員会(ICAB)を訪問した。ダバオはフィリピン第二の都市で日系人、日比混血児が多く暮らしている。正確な数は把握されていないものの、ダバオが位置するミンダナオ島全域に4から5万人の日比混血児が存在すると言われている。DSWDダバオ支部の協力により、こうした混血児を養育する家庭を訪問し、生活の現状についてインタビューする機会に恵まれた。こうした母親の多くは日本人男性と婚姻出来ると思っていたが、男性が日本に帰国して連絡を絶ってしまったと訴えていた。出産後に男性側から経済援助を受けられないので、母親たちは家庭を支えるために、あるいは、再婚し新しい家庭を守るため、混血児童を祖母の元に預けているケースが非常に多い。混血児童を養育する家庭の多くは、経済基盤の弱さから貧しい生活を送っている。

ダバオでは、市内の教育・福祉・保健の公的サービスを提供しているCSSDO (City Social Service and Development Office)を訪問した。フィリピンでは、24歳以下の男女の結婚に際し、結婚前カウンセリングを受けることが義務付けられている。このカウンセリングを終了して初めて、市は結婚を望むカップルに対し結婚証明書を発行する。フィリピン女性と日本人男性の結婚が増える一方、日本人男性の中には英語、またはタガログ語で行われるカウンセリングに戸惑う人も多いと言う。また、フィリピンでの離婚手続きは日本のそれと全く別の手順をふむ。結婚生活を無効とするためには、裁判所において婚姻生活が事実上破綻をきたしていることを証明しなくてはならない。裁判所が申立人に対して、その者の結婚生活が無効であることを認めると証明書が発行される。再婚する場合は、この証明書を持って結婚の手続きをすることになる。日本人と結婚するとき、慰謝料や養育費の請求が出来ることを知らないため不当に離婚された後、フィリピンに帰国し経済的に困っている日本国籍の子どもを抱える女性もでてきており、援助の方法を考慮しなければならない。

 

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DSWDのダバオ支部のオフィス

 

 

 

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