事例6:国際結婚・離婚のカウンセリング・援助
父親の転勤で、日本にやってきたドイツ人Gは、日本人女性Hに会った。GとHは、彼がドイツに帰国後も連絡を取り合い続け、Gからのプロポーズを受けて、Hはドイツに渡り二人の結婚生活が始まった。二人の間にまもなく子どもが生まれたが、彼は仕事もなく、しかも他の女性との付き合いもあり、彼女にとって言葉も通じないし初めての育児で不安はつのる一方であった。Gの両親は、彼女にとって有難い協力者であったが、同時に彼がどんな性格であったか、どんな養育歴をもっていたのか知るに至り、HはGとともに子どもを育てる自身をなくしてしまった。
Hは、子どもと一緒に夫の元から去る決意をし、ドイツで知り合ったある夫人に協力を求め日本へ帰国する切符を手に入れ、ある日子どもと脱出し日本に帰国した。彼女は、自分の家族に迎えられ、安定した気分で子育てを始めた。ところが、思いがけずある日彼が日本までやって来て、子どもをさらうように連れてドイツへ帰ってしまった。彼女は、慌ててドイツへ行き、再び同居生活を始めたが、二人の関係は良くならず、再び脱出を試み日本に戻ってきたが、彼に探されないようにひっそりと生活を続けた。その後、再度彼は子どもを求めて日本へやってきた。
彼は、Hと離婚したとしても、子どものことはどうしても諦めきれず、親権を請求しドイツの裁判所へ申し立てをした。このケースは、ドイツ政府・青年省からドイツISSを通し日本のISSJへHと子どもの調査依頼として入ったものである。ドイツISSはGの面接を行い、日本のISSJは不安を抱えたHの行方を捜し、連絡を取るところから援助はスタートした。日本で結婚生活していないHにとっては、日本の裁判所で審議してもらうことも出来ず、警戒心から当初ISSJのことも信用せず、離婚をし、親権獲得のために必要な援助機関であると認識してもらうまでに時間がかかった。HにとってISSJは課題解決のために必要であるとようやく納得することが出来、ワーカーとの信頼関係が樹立すると彼女は安心して話しはじめた。その後ISSJからの報告書がドイツへ送られ、正式に離婚が成立し、子どもの親権もHが獲得できた。
私たちは、どんなに遠方であっても必要なら家庭訪問をし、面接を行い、彼女のように子育てと自分の人生に積極的に取り組む元気を取り戻すことが出来るようにカウンセリング援助を行っている。