家族関係から生じる様々な問題は、それぞれの家族のあり様を示すもので、また絶えず動いている。当事業団は、夫婦に時には個別に、時には一緒にカウンセリングを行い、情報を提供し、ともに課題を乗り越えていくよう援助している。
◆台湾における国際結婚・離婚に関するカウンセリング◆
ISSJソーシャルワーカー3名は11月27から30日まで台湾を訪問し、台北在中の台湾国籍の男性と国際結婚した日本女性の会、「なでしこの会」の協力で国際結婚に関するアンケート調査およびインタビューを行った。「なでしこの会」は台北市を中心に約200名の会員からなり、年代も20代から80代と幅広い。また、交流協会および国際結婚をしたカップルを援助している関係諸機関を訪問し、情報交換を行った。
今回の調査によると、会員の結婚の動機や派生した問題は年代によって違いが見られる。80代、70代の多くは学校で日本語教育を受けていたので言葉の問題はなかった。当時日本の統治下だったので国際結婚という感覚はなく結婚前に悩んだり、躊躇はなかったが、結婚後に文化や習慣の違いから夫の親との確執、子どもの教育問題、家庭の管理など夫婦間に問題が生じている。60代、50代、40代は結婚することが問題の一つにあげられていた。特に女性側の両親の反対が圧倒的であった。その理由は、当時日本では中国、台湾、韓国への偏見が強く台湾国籍というだけで反対され、そのことは現在でもしこりとなっているとの回答が多かった。何か問題が生じても、親や兄弟に相談できず一人で抱え込み自殺を考えたことがあったと答えた人もいた。30代や20代は留学先や、夫が日本の大学に留学し、そこで知り合い結婚したカップルが多い。共通言語は英語や日本語で、中国語は彼等の間では第2言語になっており、子どもが生まれた後勉強を始めた人が多い。彼等にとっては夫の親族、環境への適応、子どもの教育が最大の課題となっている。問題が生じた場合、精神的なサポートや法的に問題解決を援助してくれる機関があることは知っていても利用してない。その理由として、相談の仕方が分からない、何が問題かはっきりせずどの機関に行ってよいか判断がつかないがあげられた。ISSJのような国際的なネットワークを持ち、カウンセリングが受けられ、また法律の面からも援助してくれる機関があれば紹介して欲しいという声も聞かれ、ISSJの事業の重要性を再認識し、同時に存在を知らせる必要性を感じた。
情報交換のために訪問したパールバック財団は1964年にノーベル文学賞作家のパール・バックによって設立された。当初は台湾におけるアメリカ兵と台湾女性との間に生まれた子ども達への援助が目的だったが、今年度から国際結婚・離婚に関する援助を始めた。