II 社会適応促進諸事業
1. 国際結婚・離婚に関する問題へのカウンセリング
今年度は、国際結婚・離婚にともなうカウンセリングおよび相談援助を行った。
交通機関の発達による人の移動は世界をより一層狭いものとし、人々は国の枠を越えて出会い、カップルを誕生せしめ、家族を形成することになる。ISSJの相談窓口はこのことを反映して多くの国籍を持つ人達からの相談が寄せられた。具体的には、フィリピン、タイ、中国、韓国、台湾、マレーシア、シンガポール、ベトナム、オーストリア、アメリカ、イギリス、ロシア、イラン、ウガンダ、エジプト、ガーナ、ナイジェリアなどの国々である。
特にここ数年国際結婚・離婚のカウンセリングに関して、台湾や中国籍の男性と結婚した日本人女性からの相談や仲介業者による国際結婚の被害者、偽装パスポートでの入国・結婚などのケースが増加している。
国際結婚した夫婦の場合、コミュニーケーション言語をどうしているかが生活上の課題となる。日本人夫と結婚した外国人妻で日本に住んでいる場合はことさらである。日常生活の不便さは夫の協力なしには困難である。アジア出身の妻は妻の実家への経済援助は大抵つきもので妻の家族が病気になったり、死亡したり、兄弟・姉妹の経済的援助まで背負うことがある。子どもの時代からお互いに、育てたり、育てられたりして大人になっているので、大人になると自分が誰かの世話をするといった具合に循環が成り立っているところがある。しかし仕送りの問題から夫婦が不仲になることがある。
多くの国際結婚をした夫婦は、二国の文化をうまく調和させ、子どもも誕生し独自の家族として形態を作り出し、成長していくのであるが、ときには順調にいかない夫婦もある。不況のあおりを受けて夫が失業したり、病気になったりすると、経済的にも、精神的にも不安定になってくる。このような状態の時こそ、彼らが自分たちの課題を自覚し、彼ら自身で解決していく力を持つよう願ってカウンセリングを進めていく。中には夫が死亡するケースもある。残された妻は、夫の家族の財産争いに巻き込まれたり、お墓の問題が生じたりする場合もある。不幸にして離婚するケースもあるが、子どもの精神面・生活の面からの援助を心がけている。