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Specialist Committee V.3 Structural Design for lce Loads

本委員会はISSC 97 V.5 Structural design against ice loadsに引き続き二期目である。委員長は一期目と同じくフィンランド工科大学のProf. K. Riskaが努め、委員はDr. E. Appolonov (ロシア)、Dr. K. S. Choi (韓)、Dr. M. L. Duan (中)、Mr. E. Hieronymi (独)、Mr. A. Kendrick (加)、Dr. A. Tunik (米)、亀崎氏(NKK)の7名である。

報告の項目は以下の通りである。

1. Introduction

2. Recent Progress in Arctic Technology

3. Ice Load Determination on Ships

4. Ice Load on Offshore Structures

5. Design of Ice-going Ships

6. Design Methods for Offshore Structures

Dr. N. Pegg (加)の司会の下、委員長のProf. K. Riskaが上記項目に沿って報告書の概要説明を行い、その後、招待討論者のMr. R. Sheinburg (米国、USCG)から指名討論がなされた。ここ3年間の氷海関連プロジェクトの事例として、EUがARCDEVプロジェクトの一環として行った北極海航路における氷海タンカーの応力測定、日本におけるJOIAの氷荷重の研究、カナダNRCが進めている氷海構造物の実機荷重測定データベースの作成、国際北極海航路プロジェクト(INSROP)などを紹介している。

報告書の3、4章では、氷海船舶及び氷海構造物に作用する氷荷重の直接計算モデルについて論じ5、6章では荷重モデルを用い如何に構造設計に反映すべきかを論じている。氷海船舶の荷重モデルとしては、船体と氷盤の衝突モデルとしての取り扱いを、また構造設計に用いる部材荷重のモデルとしては局部的に高い氷圧力が線上に作用するLine-like modelにより合理的に実船の測定結果が説明できるとしている。海洋構造物については、一年氷脈と遭遇した時の荷重計算例、構造物の剛性と荷重の関係などが重要であるとしているが、実機測定例が極めて乏しく、実機レベルによる検証が不十分な段階であるとしている。氷海工学はニッチな世界のせいか、一般討論では、聴講者も少なく、件数もフィンランドからの一件のみで前回同様極めて低調であった。(亀崎一彦)

Specialist Committee V.4 Structural Design of Floating Production Systems

本委員会は、Prof. N. D. P. Barltrop (英)を委員長とし、委員は当初6名でスタートしたが、途中2名(ノルウェー、米)が欠け、最終的にDr. T. Y. Chung (韓)、Mr. A. C. Rodrigues (ポルトガル)、Dr. R. M. Silva (ブラジル)、米家博士 (NK) の4名が残った。報告書は、各委員が分担して作成した原稿を委員長が大幅に修正・加筆して以下のようにまとめた。

1. Introduction

2. Waves, Wind and Current

3. The Moored System

4. Hull Structure

5. Mooring Components

司会に予定されていたProf. B. Boon (オランダ)が欠席のため、代わってProf. R. Eatock Taylor (英)の司会の下で、委員長Prof. N. D. P Barltropにより委員会報告が行われた。委員長は、委員会報告の骨子を軸としながらも、自らの豊富な知識と経験に基づいて自説を織り交ぜながら、必ずしも十分でない報告書の内容を膨らませつつ報告を行った。その中で、FPSの構造設計において、荷重は、実際的設計のために、海域に関連した設計係数を用いてよりルールベースで定めること、リスク・信頼性ベースのアプローチ、及び疲労強度の3点が重要であると指摘した。疲労強度については、次期に新設された専門作業委員会VI.1(疲労荷重)とVI.2(疲労強度評価)において船体構造毎に分けた議論を期待する旨の説明があった。

指名討論には前期委員長であったDr. P. A. Frieze (英)が立って俯きかげんに原稿を見ながらスライドなしに滔々と批判的なコメントを述べたが、その内容は十分聞き取れなかった。また、昼食後に別建物に移動して行われた一般討論の場では、この指名討論に対する委員長の回答はなく、直ちに一般討論に入り、鈴木英之助教授(東大)から、深海域におけるFPSにおいてはライザー・係留ライン自体に働く荷重と減衰力が重要であり、また浮体との連成影響が無視できないことが確認されていること、新材料や新構造形式の開発と展望に関する評価がほしいこと、現在の試験水槽の水深に限度があることから大水深FPSに対する斬新な試験方法や模型実験の役割について議論があってしかるべきこと、及びライフサイクルを考慮した安全性及びコストの観点の必要性が指摘された。会場からは、2件の討論があり、異常波浪 (freak waves) あるいは群波に対する応答、船首衝撃のシミュレーションとして、平均的な異常波浪特性を再現するnew waves (steep waves) approachの有効性やwave dampingの水深依存性等が議論された。

本委員会は今期で2期6年となるが、次期もV.5として継続することになった。次期委員長にはDr. D. T. Brown (英)が選出され、委員はDr. Chungを残して全員が交替し、新たに9カ国からの委員で構成してスタートした。(米家卓也)

Specialist Committee V.5 Structural Design of Pipeline, Riser and Subsea System

本委員会はProf. J. Witz (英)を委員長とし、Prof. Y. Bai (ノルウェー)、Prof. S. Estefen (ブラジル)、Prof. C. M. Larsen (ノルウェー)、Prof. J. Lou (米)、Dr. N. -J. Rishoej-Nielsen (デンマーク)、鈴木英之助教授(東大)の7名の委員から構成されている。

 

 

 

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