日本財団 図書館


このほか、モニタリングシステムの効用、プロダクトモデルを取り入れることの是非、不確実性の取扱いなどについても発言があった。委員会の活動方法については、既存の基準類やルール等が十分参照されることが今後の活動において重要であることが指摘された。また、信頼性手法によるまとめ方に重点をおくべきという意見が述べられた。船級協会の関与に関しては、設計の理論的手法や構造概念の開発、情報の提供等においてその寄与が大きいとアピールする発言もあった。メガフロートなどの超大型浮体構造物に関しても発言があり、確定的な基準化・標準化は時期尚早としながらこのような巨大な構造物が周辺の海域に与える環境影響の評価や信頼性に基づく取扱いが非常に重要であるという意見が述べられた。次期委員長として、Prof. Hansenが再選された。(井上清)

Technical Committee IV.2 Design Methods

本委員会の構成は委員長Mr. Pradillion (仏)以下Dr. Bohlmann (独)、Dr. Brooking (英)、Prof. Bronsart (独)、Mr. Hage (ベルギー)、Prof. Hung (台)、Mr. Li (中)、Dr. Madsen (デンマーク)、Dr. Punta (伊)、Dr. Sielski (米)、Dr. Song (韓)、阿部氏(住重)の12名である。

報告書の項目は以下の通りである。

1. Introduction

2. Requirements and Trends

3. Design and Production Processes

4. Integration Methods

5. Offshore Considerations

6. Conclusion

7. Appendix:Classification Society Tools Evaluation

Prof. Mansour (米)の司会の下Mr. Pradillion (仏)が上記項目に関し、以下に力点を置き概要報告を行った。コンピュータの計算能力の飛躍的向上に伴い関連技術者(特に設計者)のための環境が整いつつある。しかし、一貫した3Dモデルが、設計の初期段階から製品の寿命まで共用されるまでには至っていない。一方、Virtual Reality (VR) の適用、設計段階での疲労強度・最終強度等の詳細解析実施、等が実現しつつある。今後の主要な課題としては、解析・評価・意思決定の迅速化のツールおよび上述の3Dモデルの整備などが挙げられる。

Official DiscusserであるMr. Catleyからは、新規設計についての現況の記述不足、設計段階でのRisk Managementを重視すべきこと、詳細設計の観点を上流の設計段階で持つべき、等の指摘があった。また、レポートの内容を補完する形で、STEPの進捗やNaval Shipについての現況も報告された。

一般討論として、清水氏(川重)からは新機種設計のための設計手法・システムの確立が重要であること、川村助教授(横国大)からは、今後Virtual Enterprisesの実現に向け、電子データ交換あるいはCIMの技術が鍵となり情報の標準化が重要となること、Mr. Bruceからは、設計段階で製造の観点を反映することの重要性、Mr. Vredeveldtからは、船の設備の高度化に反し乗組員技量が低下傾向にあることの問題点、についての指摘がなされた。また、Mr. Linからは、コンピュータ・ツールを使用すべき局面や用い方についての質問があった。尚、次期委員会委員長にはMr. Pradi11ionが再選された。(阿部孝三)

Specialist Committee V.1 Risk Assessment

本委員会は1997年に新たに設置された。吉田氏(船舶犠装品研究所)が委員長を務め、Dr. Loland-Eknes (ノルウェー)、Mr. H. Ludolphy (オランダ)、Dr. W. Moore (米からノルウェーへ移動)、Dr. Prince-Wright (英)、Prof. K. Tikka (米)、Dr. A. Tonelli (伊)、Prof. J-E. Vinnem(ノルウェー)が委員として参加した。委員会発足当初は、委員各自の当テーマに関する理解が揃わないこともあって紆余曲折があったが、2年目からは5回の委員会会議にほとんどの委員が出席するという非常に協力的な雰囲気で作業が進められた。当委員会は、「船舶と海洋構造物の定性的及び定量的なリスクアセスメントのための合理的な手法の開発状況を報告する。特に座礁、衝突、火災及び爆発のようなハザードから生ずる異常な荷重について注意を払う。」という命題の下に、以下の項目からなる報告書を提出した。

1. Introduction

2. Risk Assessment Basics

3. Application of Risk Assessment in the Maritime Rule Making Process

4. Maritime Application

5. Offshore Application

6. Data Sources

7. Conclusion

8. Recommendation

イタリアRINAのDr. M. Doglianiの司会の下、吉田委員長が、概略以下の報告を行った。まずはじめに、ハザード、リスク、リスクの許容限度及びこれらの求め方などのリスクアセスメントに関する基本事項を説明した後、一般船舶に関する規則作成過程でリスクアセスメントが利用され始めていることを、IMO(国際海事機関)におけるFSA (Formal Safety Assessment)の暫定ガイドラインを引用して説明した。このFSAでは、以下の5段階に分けて解析を進める。(1)危険の抽出、(2)リスク(事故の損害の大きさとその出現率の積)の算出、(3)リスク低減措置の抽出、(4)リスク低減措置の費用対効果の評価、(5)総合評価。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION