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Technical Committee III.2 Fatigue and Fracture

本委員会は委員長のProf. W. Fricke (独)以下、Prof. S. Berge (ノルウェー)、Dr. F. Brennan (英)、Prof. W. Cui (中国)、Prof. L. Josefson (スウェーデン)、Dr. H. Kierkegaard (デンマーク)、Dr. D. Kihl (米)、Dr. M. Koval (ロシア)、Dr. T. P. Mikkola(フィンランド)、Mr. G. Permentier (仏)、Dr. J. H. Yoon (韓)、豊貞教授(九大)の計12名の委員から構成されている。

報告の項目は以下のとおりである。

1. Introduction

2. Developments in Life Prediction Methods

3. Development in Materials

4. Fatigue Behaviour of Structures

5. Unstable Fracture

6. Design Procedures

7. Inspection, Maintenance and Repair

8. Conclusions

Prof. Petershagen (独)の司会の下、委員長Prof. W. Frickeから概要報告がなされた。過去3年間で、つぎのS-N曲線を除いて、特に目新しい取り扱い手法や、注目すべき結果は公表されていない。降伏点が1300MPaクラスの高張力鋼で、107サイクル以下だけの結果からは、疲労限が生じているかに見られるS-N曲線が、107サイクル以上の高サイクル領域で、サイクル数の増加に伴い疲労強度が低下するという結果が紹介された。この高サイクル領域での疲労破面には、銀点が観察されており、銀点が腐食疲労と同じような役割を演じているようであるが、なぜこのような結果が得られているのかの解明が必要との認識が示された。また、本委員会で3800個積みのパナマックス型コンテナ船のハッチコーミングのパッド溶接部について、American Bureau of Shipping (ABS, 1999)、Bureau Veritas / Registro Italiano Navale (BV 1999)、Det Norske Veritas (DNV, 1998)、Germanischer Lloyd (GL, 1998)、Korean Register of Shipping (KR, 1998)、Lloyd's Register of Shipping (LR, 1998)、Nippon Kaji Kyokai (NK, 1995)、Russian Register of Shipping (RS, 1999) の8船級ルールもしくはガイドラインを適用し、疲労寿命を求め、比較した結果が報告された。外力の取り扱いなどが明確ということで、船級協会規則あるいはガイドラインによる疲労強度そのものの差を見るために実施したが、結果は1.8年から20.7年にばらついていた。そして、北大西洋航行を想定した直接計算ベースでは、2.9年から6.2年とばらつきは小さいものの、やはり倍半分となっており、これの改善が必要との認識が示された。

これに対し、指名討論者のDr. Violetteは、構造詳細に対応したホットスポット応力、ならびに工作施工の実状に合わせたホットスポット応力をISSCとしてガイドラインで示す努力をすべきであることを強調した。これに絡んで、2003年のISSCには疲労のための外力に関する特別委員会(委員長:渡辺(船研)、ならびに疲労に関する特別委員会(委員長:Prof. S. Berge、日本からは冨田教授(阪大))が活動することになった。(豊貞雅宏)

Technical Committee IV.1 Design Principles and Criteria

本委員会は、委員長のProf. P. F. Hansen (デンマーク)、Prof. R. G. Bea (米)、Dr. S. Copello (伊)、Dr. K. -S. Kim (韓)、Prof. E. Lehmann (独)、Prof. B. Leira (ノルウェー)、Mr. J. F. Segretain (仏)、Dr. J. S. Spencer (米)、Prof. A. Ulfvarson (スウェーデン)、Prof. W. H. Wang (台湾)、Prof. S. Zang (中)及び井上氏(日立造船)の12名の委員で構成されている。なお、委員長は当初Dr. Thayamballi (米)であったが中途の転職に伴ないProf. Hansenが委員長となり、また、米国委員としてDr. Spencerと交替した。

Mandateは、船舶・海洋構造物の経済性・安全性の定量化とそれに基づく合理的なライフサイクル設計法を展開するとともに、さらに現行構造物の再評価を行ない、これらの検討にあたって構造物の挙動に影響する不確実性の把握に特に留意することとされた。これに対応した報告書の項目は以下の通りである。

1. Introduction

2. Principles for Rational Life-Cycle Design

3. Quantification of Safety Criteria

4. Feedback from Accidents and Service

5. Reassessment of Existing Structures

6. Code Formation and Development

7. Uncertainties in Structural Behaviour

8. Technical Strategies to Reduce Human Errors

9. Other Aspects

10. Conclusion and Recommendations

Prof. T. Moan (ノルウェー)の司会の下、委員長のProf. Hansenが上記項目に従って報告書の概要を報告した。指名討論著のDr. P. Bjerager (デンマーク)は、報告書の内容に概ね賛同した上で、危険性の評価法の確立、ルールの透明性、ライフサイクルに関する統括的安全性のアプローチなどの重要性について述べた。会場から11件の多岐にわたる活発な質問・意見が述べられた。ライフサイクル設計に関しては、理論的取扱いが設計、建造、運航などの各段階の実際的な現場においては必ずしも考慮されていないことに対して今後どのような方向が取られるべきか、ライフサイクル設計にモニタリングシステムを如何に組み入れるか、あるいは、この分野の論文に関して系統的な参照が重要であること、など多くの質問・意見が述べられた。

 

 

 

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