日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 社会 > 成果物情報

「洋上設置型海洋深層水取水装置による海洋深層水の調査研究」報告書

 事業名 洋上設置型海洋深層水取水装置による海洋深層水の調査研究
 団体名 沖縄県海洋深層水開発協同組合 注目度注目度4


トリチウムは半減期が12.5年であり、大気に宇宙線が衝突して生成し、大気から表面海水中へ供給される。1950年代後半から1960年代にかけて行われた水素爆弾の大気圏内実験によってもトリチウムの量は多くなった。海洋のトリチウム量の観測が国際プロジェクト(GEOSECS)で行われ、大西洋のトリチウム分布図が作成され、グリーンランド沖、および南極海では表層水が深層(1000m以深)へ供給されている沈降流がトリチウムの分布から確認された。

放射性炭素(14C)は半減期が5730年であり、トリチウム同様に大気に宇宙線が衝突して生成し、大気から表面海水中へ供給される。大気圏内の核実験によっても放射性炭素は海洋表層へ加わった。GEOSECSプロジェクトによって放射性炭素の測定が大西洋、インド洋および太平洋で行われた。大西洋深層水(深度:2〜3km)の見かけの14C年齢は赤道直下で、500年程度であり、太平洋の赤道直下では1800年であり、北太平洋(北緯40〜45度、深度2〜3km)において、見かけの年齢2000年という古い海水が存在する。したがって、放射性同位元素をトレーサーとして使用することによって、海洋大循環はおおよそ正しいと言える。

 

3. 海ヤカラ1号設置海域の深層水の由来

3.1 深層水の年代測定

海洋大循環の項で述べたように、太平洋の深層水の由来を解明する道具として、放射性炭素のデータが有効である。そこで、フィリピン海北西端に位置する海ヤカラ1号設置海域の深層水の由来を検討するために、2000年9月4日に深度600m、1400mの2試料(各1リットル)を採取し、放射性炭素の分析を地球科学研究所(名古屋)へ依頼した。海水1リットルにストロンチウムイオンを加えて、溶存無機炭素を炭酸ストロンチウムとして固定した。炭酸ストロンチウムとして炭素を固定した試料をべ一タ社(USA)へ送り、ベータ社にて炭酸ストロンチウム中の炭素をグラファイトに変換後、加速器質量分析法(AMS)を使って放射性炭素の測定が行われた。その結果を表2-26に示す。

 

3.2 深層水の見かけの年齢

1950年を0年とし、標準物質(NBS4990シュウ酸)中の放射性炭素量に対し、その比を現代炭素%(percent modern carbon,%)として国際的な慣例に従って計算した結果を表2-26に示した。時間がたつにつれて14Cは放射壊変によって減少していくという原理に基づいて、深層水の年代測定が可能である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
415位
(35,690成果物中)

成果物アクセス数
28,278

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2023年6月3日

関連する他の成果物

1.明るい社会づくりに尽くされた方々?平成12年度社会貢献者の事績?
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から