準備作業では、上端出口が開放されている600m系取水管と予め装備している積算流量計の入口を仮設取水管で連結し、溢れ出ている深層水全量を積算流量計に通過させて定量的に把握できるようにした。なお、積算流量計は設置後台風に遭遇しながら時間が経過していることから事前に作動確認を行った。作動確認では20リットル計量容器を用いて示度計測を行い精度が計画値以内であることを確認した。自噴流量確認の概念図を図2-20に、自噴流量確認結果を図2-21に示した。
自噴流量確認当時の波高は0.5m〜1m、周期4〜6秒であった。
自噴は波周期に同期した位相差で発生するブイ本体の上下動に応じて生じてはおらず、また自噴量はブイ本体の上下動振幅の大小の影響を受けていないことが確認され、波高と自噴流量に相関性は認められなかった。
観察では不規則な間隔で自噴しており、波高がO.2m以下でも自噴は認められたが、波高が1.5m程度になっても自噴量の増加は認められなかった。
これらのことから「海ヤカラ1号」の場合には確かに自噴は認められるが、ブイの上下動に同期した傾向の自噴は認められなかったので実機と自噴流量推定計算モデルとの相違について検討することが今後の課題と考えられる。
・取水管内の水柱の上下運動を制御する流量調整弁の効果
・取水管の直径と水柱の質量及び上向き慣性力
・ブイ本体と取水管との相対動揺角度変化の影響
・低流量域(1l/分以下)における取水管長さ/直径比の影響