4.2.3 ブイ本体着水
ブイ本体の着水作業は、取水管内部に注水して均圧作業が完了した時点から速やかに実施する。ブイ着水作業実施に際して最も注意すべき点は以下の通りである。
1) ブイを一点吊りする場合、万一、吊り索に僅かでも捩れがあれば、ブイを回転させて係留系と取水系が絡まる原因となるので吊り索の捩れは十分に除去する。
2) 係留系と取水系を連結しているブイ本体を吊り上げる場合には、台船の動揺により取水管システムが振り回されて損傷する原因となるので十分に控え索を用いて対策する。
3) ブイ本体着水後にブイが回転して係留系と取水系の絡まりを予防するために、ブイ本体の吊り上げ方向はすでに海面に繰り出している取水管システムに対して潮上方向とする。
ブイ本体を吊り上げて着水させた後、作業船側において取水管システムの重錘を離脱する。この時から水中重量約1280kgの取水管システムの全体重量はブイが負担することになる。ブイ本体の着水完了後、吊り索及び全ての控え索を取り外すと台船とブイ本体は、係留索一本で繋がれていることになる。この状態から台船を徐々に曳航移動させるとブイ本体は係留系を引き出しながら台船から離れていく。
4.2.4 係留システムの設置
曳船に搭載のGPSにて投錨予定ポイントを確認しながら所定のポイントまで移動する。海図に示されている投錨予定ポイントの海底傾斜は南北方向に急傾斜をなしており、南方向に1海里当り100mの割合で水深が深くなっている。
設置水深の許容範囲は、最大1750m(係留系の設計深度)から最小1650m(1400m系取水管の取水口が海底から100m以上の高さにあること)で、北緯25度47.7分〜北緯25度48.7分の範囲(1海里)である。
台船は曳船に曳航されて約4ノットの速力で潮上に向かい20分を要して投錨海域付近まで移動した。この時、ブイ本体は取水管システムを連結した状態で台船に曳航されたので、取水管システム全長にわたりに4ノットの流体力が作用して取水管にとっては厳しい状況であった。
投錨予定海域の手前約1海里の点に到達時点から係留索の繰り出しを開始した。係留索の繰り出しは、台船を潮上方向に徐々に移動することによって予め甲板上に整然と配列された1600mテトロンロープと400mダンラインロープには張力が作用して海上に引っ張り出されて行く。
係留索の繰り出しが完了してアンカーチェーンとの連結部に到達した時点で繰り出し作業は一時中断し、台船〜ブイ本体の距離が約1800mとなるように位置調整を実施した。