この位置調整は、曳船に搭載のGPSとブイ本体位置に近接させている作業船に搭載のGPSを用いて両船の位置計測をしながら行った。
台船側において投錨点を確定し、アンカー及びアンカーチェーンをクレーンにて台船の船外に繰り出し、控えワイヤーを使って台船舷側に吊り下げた状態とし、この控えワイヤーをガス切断するとアンカーは海中に落下する。
アンカーが深海底に落下して行く過程で係留系は緊張状態となりブイ本体を引き込もうとする力が作用するが、ブイ本体の浮力のために海面を走行して投錨点に引き寄せられて行く。
ブイの海面走行速度は制御が不可能であり、場合によっては大きな流体力が取水管システムに作用することになり設置工事中の留意点の一つである。
「海ヤカラ1号」再設置の場合は、作業船上から走行状態を観察した結果では4〜5ノットの範囲と報告されている。走行距離は約800mと試算された。また、ブイが海面走行中の取水管の状態は、深度100m付近までは水平に対して約15度の角度で流されているものと推定される。角度が小さいことによって外力の作用は軽減するが、連結部の曲げは厳しくなっている。
4.3 設置作業のまとめ
「海ヤカラ1号」の再設置作業は、陸域から約30km以上沖合いの外洋において設置作業並びに揚水性能確認作業を1日間の短時間内に遂行し、計画通りの成果を得ることが出来た。
4.3.1 設置作業記録
(1) 実施日時
平成12年9月4日(月) 出港(糸満漁港):5時00分
帰港(糸満漁港):23時30分
(2) 投錨・設置ポイント
投錨・設置予定点 北緯25度49分 東経127度44分
設置点 北緯25度48.229分 東経127度44.002分
水深 約1700m
取水高度 海底から上方約110m
離岸距離 喜屋武岬南方約30km