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洋上設置型は海上にブイ等を常設し、そこから所定の深度まで取水管を海中に吊して、洋上の取水船等により深層水をポンプアップするシステムである。この方式により多量に深層水を取水する方法も技術的には可能であるが、現時点で稼働しているのは取水量が小規模の“海ヤカラ1号”のみである。

同方式の特徴は以下の様である。

・海域の設置場所を選ばない

・取水深度が自由に設定できる

・取水作業が海象条件に左右される

洋上移動型は、観測調査船や船に採水器等の取水機器や取水管を搭載して、任意の海域で所定深度の深層水を取水する方法で、海洋調査等の分野で行われ取水量は少量である。

洋上設置型システムの海ヤカラ1号は、幾つかのアイデアと実践の結果により誕生した。

前述の沖縄県深層水利用推進協議会は、平成5年夏、図1の左図のように船に市販のホースを搭載し、任意の深度にホースを降ろして深層水を取水する方法により、深度450m〜600mまでの深層水を数トンレベルで取水することに成功した。しかし、この方法では大人数の作業員、取水管の損傷等の課題を解決することができず、また経済性も問題となり別途代替案の模索に入った。

 

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図1 深層水を取水する洋上移動型システムと洋上設置型システム概念図

 

その為に考え出されたのが図1右のシステムである。海上ブイに取水管をタコの足の様に取水深度別に吊り下げた取水システムである。同システムについて平成8年春、東京でワークショップを開催し深層水研究の関係者に集まって戴き検討をお願いしたがリスクが大きいと言う意見がほとんどであった。

 

 

 

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