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結局、事務局責任で2本の取水管を吊り下げるシステムの開発を行うことに落ち着き、これが海ヤカラ1号の誕生に至る。

 

2) 取水深度の選定

“海ヤカラ1号”は、深度600mと1400mの2層の深層水を取水できる機能を備えている。実海域に常設の取水装置としては特記的なことで、このことが当組合の深層水利用のバリエーションを広げている大きな要因となっていると考える。

海水中の溶存物質の鉛直分布(太平洋)には図2の様な幾つかのパターンが存在する。

 

Iタイプ:

表層の濃度はほぼゼロに近いが、深度1000mに向けて濃度が上昇する

N、Si、P、Fe、Zn、Ge、Cd等

IIタイプ:

表層の濃度はある値であるが、深度1000mに向けて濃度が減少傾向を示し、以深では緩やかな上昇となる

O、A1、Co、Sn等

IIIタイプ:

深度が変化しても濃度変化が殆ど無い

B、C、F、Ne、Na、Mg、S、Cl、Ar、K、Ca、V、Br、Rb、Sr、Mo、I、Cs、W等

IVタイプ:

Iタイプと類似しているが、表層の濃度はある値にあり、深度3000mに向けて濃度が上昇する

Ni、Se、Y、Ba等

 

004-1.gif

図2 海中の主な元素の鉛直濃度

(タイプI、II、III、IV)

 

 

 

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