96年になると、はじめて高校職業教育が普通教育を上回った。96年の高校における職業教育と普通教育の比率は、生徒数で56.7%と43.3%で、職業教育が過半数を占めている。
なお、80年には職業技術学校は、全国で僅か6000校しかなく、生徒数も200万人に満たなかったが、96年には17,081校になり、在籍中の生徒数も約1,010万人に達しており、80年との比較で、校数にして2.7倍、生徒数で6倍に発展している。この10数年間で、この教育方針のもと、経済及び社会の発展のために、2318万人の中等専門技術者を育成した。
このほか、各種類の成人向けの学校で、学歴教育のほかに、様々な方法により社会に必要な各分野の専門技術者を育成している。
大学教育
中国では大学教育のことを「高等教育」という。
不幸なことに、60年代から10年に亘る「文化大革命」があり、この間は高校卒業生が大学へ入学する門戸が閉ざされた。76年に文化大革命に終止符が打たれ、78年からは、高校からの大学への道が再開された。
そして改革・開放政策以来、中国における大学教育も大いなる発展をみせており、96年には大学数1034校、4年制大学の在学生数は567.68万人に達している。
また、80年には修士、博士制度を制定。96年までに、修士・博士を育成する大学及び研究機構は740、この課程に在学中の学生は、博士課程35,200人、修士課程127,100人である。
なお、ここで大学科学技術研究について触れておくと、96年には、人文社会科学領域では、大学の研究機構は1596ヵ所あって、研究要員は20万人。一方、理工系、農業、医学等の領域では、大学の科学研究機構が1800ヵ所、それに携わる要員は14万人である。
中国の大学を「管理」面からみると、次の3つに分類できる。
教育部(日本の文部省)管理の大学、中央省庁管理の大学及び地方政府管理の大学、それに私立大学である。
教育部管理の大学は34校で、例えば北京大学、清華大学、北京師範大学、復旦大学、南京大学などの一流大学がある。
中央省庁管理の大学は、約500校で、なかには哈爾濱工業大学、北京理工大学などの有名大学も含まれている。
地方政府や市、自治区管理の大学も約500校で、これらを全部併せると中国の大学数は1040余校となる。
この他にも、多数の成人向けの大学、また最近増加の一途を辿っている私立大学がある。
私立大学が設立され始めたのは、ごく最近のことで、具体的な統計がないので、その実数は不明であり、大学のレベルもまちまちである。
大学の分類の仕方としては、前記管理面での分け方、学部と学科の構成による総合大学、理工系大学、文科系大学などの分け方、また、科学研究、学術研究のレベルなどにより、重点大学、非重点大学という分け方もある。