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総合大学で有名なものは、北京大学、復旦大学、南開大学、武漢大学、吉林大学などがあり、理工系大学では清華大学をはじめ、西安交通大学、上海交通大学、哈爾濱工業大学などがある。

しかしながら、中国は現在、大学の改革を三つの点ですすめており、第一に、管理面では中央省庁の管理大学を、逐次地方政府の管理(所管)に移すこと。二番目は、教育面で大学のなかの学部と学科の構成の改革である。

中国の大学制度は、過去にソ連の大学の管理システムを直輸入したために、学部と学科の設置が細かすぎて、学生の自由選択の幅が狭すぎるという欠陥があった。現在、この欠陥を是正するための改革をすすめられており、学部と学科の見直しを行い、選択の幅を広げて、社会の発展に寄与できる知識、技能を与えうる構成に組み換えようとしているのである。

三番目には「211プロジェクト」と呼ばれるものである。

この「211プロジェクト」とは、21世紀に向けて、100の大学と学科を選んで、それを重点的に建設しようとするものである。

いま、中国の大学は、この「211プロジェクト」に入るために、熾烈な競争を展開している。

なお、ここで中国の大学の学生について簡単に触れておく。

中国の大学生は幾つかのランクに分かれている。まず激烈な競争試験によって選ばれた「本科生」、次に「院生」(修士課程か博士課程の学生)、「専科生」(2〜3年コースの学生)、「進修生」(これは卒業証書は出さないが、修了証書はもらえる学生で、聴講生や、外国留学のための特訓コース『培訓』がこれにあたる)の区分けができる。

授業料も、本科生、専科生は安いが、進修生は高いというように区別されているが、本科生でも、農林、師範(それも教師になるためのコースのみ)、砿業、軍隊、警察関係の大学では、授業料免除で、その他の大学では学科の種別によって区々である。

なお、大学卒業生は、かつては国が必要な部門に人材を配置していたが、現在は「双方選択」(企業・機関と学生双方によって就職が決まる)方式が採用されており、中国の産業再編成、リストラ等の関係で、就職はかなりの“狭き門”となっている。

 

成人教育

成人教育の規模も大きく発展している。96年までに、全国には各種類の成人学校があり、その数は617,498校である。ここで学んでいる人も1308.4万人であり、国が懸命に取り組んでいる「文盲一掃運動」にも、大きな力となっている。

特に文盲一掃では、92年に全人口の22%であった文盲率が、96年には16.5%にまで低下し、都市部では、殆ど文盲一掃の目標は達成されたが、農村部においては、依然としてこの目標の前途には厳しいものがある。

また、前述のとおり、金儲けのために子供を義務教育を受けさせず、商売をやったり、働かせたりする状況があり、一部の貧困な農村では、子供を義務教育の学校に行かせる金も無いという状況がある。

 

 

 

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